コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、アパートの一室に棲みつく幽霊と、その部屋に引っ越してきた青年が不思議な絆を深めていく物語『僕の部屋のユウ子さん』(スクウェア・エニックス)をピックアップ。
作者の武川展子さんが1月21日に本作をTwitterに投稿したところ反響を呼び、5,900以上の「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、武川展子さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについてを語ってもらった。
お金がないという理由で“いわくつき”の部屋を借りた青年・カンナ(神無善)。怪異の“気配”や“感触”を感じながらもその存在を全く気にしないカンナは、幽霊から毎日のようにいやがらせをされても怖がるどころか反抗してやり過ごしていた。
気を引こうと様々ないたずらをしてくる幽霊に“ユウ子”と名付けるカンナ。その後、高熱を出したカンナは薬も飲めないままベッドに横になり、動けなくなってしまう。しばらくして目を覚ますと、いつの間にか着替えさせられ、薬を服用した形跡があることに驚く。カンナは朧げな記憶からユウ子が看病してくれたのだと理解する。
それからというものカンナはユウ子に毎日話しかけ、姿は見えずともその存在を感じながら日々生活する中で、徐々に絆を深めていく2人。しばらく経ったある日、カンナはふとしたことをきっかけに以前近所の交差点で女子高生が交通事故に巻き込まれたというニュースを思い出す。そして、そのときに亡くなった女子高生がユウ子なのでは、と気づく。そんな中、カンナはある理由から部屋を退去することになってしまい…。
幽霊の存在を怖がらない青年と、そんな青年に心惹かれていく女子高生の幽霊。2人で過ごす不思議な時間が次第にかけがえのない日々へと変わっていく様を描いた異色のラブコメディー。Twitter上では「斬新すぎるラブコメ」「おもしろすぎる」「キュンとして面白くて切ない」「いい話」「怖くなくてほのぼのするオチが秀逸」「雰囲気とか全部好き」など、読者からのコメントが多く寄せられ、反響を呼んでいる。
――『僕の部屋のユウ子さん』はどのようにして生まれた作品ですか?
以前からロミオとジュリエット的な漫画を描いてみたいなと思っていたからです。お互いの気持ちがあるのに何かの壁があって結ばれないみたいな…。
――幽霊のいたずらや存在を気にしない青年・カンナと部屋に棲みつく女子高生の霊・ユウ子、それぞれのキャラクターや設定はどのように生み出されたのでしょうか。
カンナはとにかく両手を広げて「来い!」って言ってくれる人にしようと思いました。ユウ子のことを生きている人と変わらない接し方をしてくれる人にしたかったので…。
それから、ユウ子には靴下を履かせない!と決めていました。制服女子の靴下は時代を特定してしまうので(笑)。後は、子どもっぽいよりは大人っぽいイメージだったので髪を長くしました。
――カンナとユウ子の2人が“同棲”する中で徐々に絆を深めていく様子を描く本作ですが、武川展子さんにとって「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
カンナの気持ちがユウ子には見た目から入っていってないというところですかね…。若い男の子なので多少揺れ動いたりはするのですが(笑)。
――普段は姿を見せないユウ子の存在を、カンナの目線や空間を利用して描く構図も印象的でした。武川展子さんが本作を作画する際にこだわっている点や、特に意識している点はありますか?
意識しているのはユウ子は幽霊なんだというところです。いるのにいないというか…。カンナと会話しないように気を付けてます。今後はカンナの気持ちの変化の表現の一つとしてユウ子の姿をもう少し存在感があるように描いて行こうと考えているのですが、その辺は忘れずに進めて行きたいと思っています。
――本作の中で、武川展子さんにとって特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?理由と共にお教えください。
やはり#1のおならのシーンと、#14のユウ子が初めて姿を現すシーンですかね。幽霊に突然腰引っ張られて、さて、どうするか?と頭の中でカンナを動かしてみたんです。そしたらおならして...。人前でおならなんて描けるか!!って(笑)。描いたんですけど(笑)。初めから勝手に動くキャラは初めてだったのでびっくりしました。
#14のユウ子が初めてカンナに姿を見せるシーンは一番の落としどころだと思っていたので緊張してペン入れが上手くいかず、何度も描き直しまして…。結局どれも上手く描けず、最初に描いたのが一番まともだったのでそれを使ったのですが…。自分の力のなさが情けなくて涙が出たのを覚えている、思い入れのあるシーンです(笑)。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
読み終わった後、大切な誰かを思い出すような、大切な誰かに出会いたくなるような そんな作品にしていきたいと思っています。ぜひ、最後までお付き合い下さい!
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