巻き込む者としての責任が、一切の妥協を許さない――前田佳織里「未完成STARへの道」

2023/03/24 18:00 配信

音楽 アニメ インタビュー

前田佳織里撮影:北島明

『ウマ娘 プリティーダービー』『アイカツスターズ!』『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』などの人気作品へ次々に出演し、芝居にステージに、幅広く活躍を繰り広げる声優・前田佳織里が、待望の自身名義での音楽活動をスタートする。3月15日にリリースされた1st EPのタイトルは、『未完成STAR』。初のアニメタイアップ担当楽曲を含む全4曲は、いずれも「表現者・前田佳織里」のパーソナリティを映し出した佳曲たちだ。音楽活動、そして『未完成STAR』にたどり着くまで、前田佳織里はどのように歩みを進めてきたのか――声優や音楽を志すことになったルーツから青春時代、そして現在に至るまでを語り尽くした超ロング・インタビュー、第5回は「表現を届ける者」としての基本思想を熱く語ってくれた。

高校時代に音楽に支えられたし、人の輪を広げていって、仲間を作ってくれたのも音楽だった


――前田さんは高校時代にバンドに打ち込んでいたわけですが、バンドって共同作業じゃないですか。オリジナル曲とかも作っていたんですか。

前田:作ってました。1回生放送で歌わされた〜、恥ずかしい〜!(笑)。

――(笑)一方で、声優として役と向き合うのは、ひとりでやることでもあるじゃないですか。人と一緒に何かを生み出した経験は、今のご自身にどう生きてると思います。

前田:今の活動にとっても生きてます。スタッフさんと話し合うこともそうだし、自分の中でのアイディアも含めて、「こうやったらもうちょっと楽しいんじゃないかな」みたいなことを、いろんな人たちと関わって協力して生み出すことが楽しいと思えたので、今でもそれは生きてると思います。声優としてアニメのお仕事をやらせていただくときもそうなんですけど、みんなで一緒にいいものを作ることは原点にありますね。

――子どもの頃に音楽は近くにはあったけど、それが夢になったのは少し先ですよね。で、青春時代の前田さんにとっては、「声優になりたい」が夢としてあって、音楽はその一部になってたんですかね。

前田:一部ですね。高校時代は常に勉強をしていた思い出があるのですが、音楽は自分の中での娯楽だったというか、ほんとに心を支えられました。また当時、学校では「朝課外」っていう、1時間目の前に0時間目があって(笑)とにかくたくさん勉強してました。

――(笑)それは確かに早い。

前田:頭髪検査も厳しかった思い出がありますね(笑)。そんな高校生活でしたが生徒はいい子たちばっかりで。その中で、自分がバンドの魅力に気づいて、ライブするってなったときに、みんなも勉強が大変なのにライブを見に来てくれて応援してくれて。そのときに、音楽に支えられたし、音楽で人の輪を広げていって、仲間を作ってくれたのが音楽でした。

――与えられたものが大きかった。

前田:すごく大きかったですね。

「前田さんは人を巻き込む力があるね」って言われたのが、とっても嬉しかった


――日本のバンドの他に、ケイティ・ペリーやテイラー・スウィフトも好き、と以前話していましたけど、それはいつ頃からですか。

前田:高校時代のあとですね。ハマったのはちょっとあと――というか、今に近いです。大人になってからかなあ。

――どういうところが好きだったんですか。

前田:なんだろう、チャーミングさっていうのかな。曲もそうだけど、みんなを巻き込む力があるなあって、見ていてすごく思うんですよ。圧倒的なカリスマ性もそうだし。ケイティ・ペリーさんの持ってる独特さ、遊び心があるところが好きです。海外の女性って、カッコいいですよね。歌い方にも芯があるし、輝きがあるので、「こんな女性になりたい」って憧れてしまいますね。

――ここまで幼少期のエピソードからいろいろ話してもらってますけど、「巻き込む力」というのは前田さんにとってもキーワードかもしれないですね。

前田:まさに、マネージャーさんもそれを言ってくれたことがあって、「前田さんは人を巻き込む力があるね」って、それがとっても嬉しかったです。

――今もそうだし子どもの頃からそうだったし、前田さん自身もそうなりたいと願ってもきた。

前田:そうですね。小さいときは、エネルギーと心と感情だけで動いていたんですが、だんだん頭でもどうしたらパフォーマンスとしてみんなに楽しんでいただけるかを考えたりしていきました。

――声優になってからそれを始めたのではなく、声優になる前からそれを意識して、実践していたわけですね。

前田:そうですね。意識してました。当時のバンド大会でも、優勝や準優勝を決めるのは投票制だから、やっぱり名前を書いてもらいたくて。でも、たくさんの出演者が出てると、名前を忘れられることもあるので、たとえば最初に出てきた瞬間にアメを配って、そのアメの袋にバンド名を書けばいいんじゃない?とか、MCでこういうことを話そう、とか、このタイミングでドラムを入れたらエモい、とか、そういうことをすごく考えるようになりました。あと、先輩たちが優しかったので、お互いのライブを見に行って、そこで切磋琢磨してました。地元小倉のバンドシーンの、いい思い出です。

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