新聞紙の中にある裏が白紙のチラシを探す。
5枚に1枚くらいの確率で片面印刷のチラシが入っていて、私はこの紙の事を裏紙と言っていた。
そして、裏紙に家族や親戚の似顔絵を描いた。
ねえ私の描いた絵を見て、私みんなともっとお話ししたいの。
「あら上手!将来は漫画家さんね!」
「画家さんじゃない!?」
その後も漫画家を夢見た事は一度もなかったが、絵を描いた事によって言語化できない私の気持ちを、少しだけ伝えられたような気がして嬉しかった。
そして私が再び絵を描くようになったのは中学生の頃だ。
順風満帆に学生生活を送っていた私だが、
些細な事からクラスや部活でいじめられるようになり、次第に学校に登校できなくなった。
欠席日数も徐々に増えてゆき、親からは進学や将来を心配されていたが、学校で何が起きているかを何故行きたくないのかを相談する事ができなかった。
親子関係に問題があったわけではなく、完全に自分自身の気持ちの問題。
多感な時期である中学生特有の反抗心で、親の優しさすら当時は受け付けなかった。
励まされても私はもう何もしたくないし、更に惨めな気持ちになるだけ。
私はお先真っ暗の劣等生。もう全て諦めているから放っておいてよ。と、捻くれた事ばかりを考える日々。
どうしてこんな事になってしまったんだろう。
どうしてあんな学校に行かなくちゃならないんだろう。
これ以上私に学校に行けと言わないで。
学校に来いと電話をかけないで。
もう私のことなんて放っておいて。
世界に私の味方など1人もいない。
先生も親も同級生もみんな私の気持ちはわからない。
学校に行けば煙たがられ、学校を休めば来いと叱られ、未熟な私は誰かと喋る事が怖くなった。
そして私はふと、自室の片隅に放り投げられた裏紙に目を向けた。
表を見ると、まだ学校に行けていた時に配られた、ずっと前の国語の課題用紙。
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