コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、長年連れ添ったメガネが「死んだ」ことを“弔う”主人公の物語を描いた『長年連れ添ったメガネが死んだマンガです』をピックアップ。
作者の枝田さんが本作を2月6日にTwitterに投稿したところ、6.2万以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では、枝田さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
長年使っていた眼鏡の鼻あてが取れてしまい、眼鏡店に修理を依頼する主人公。だが、修繕できないと言われ、その眼鏡はもう直せないことを知る。眼鏡としての生が絶たれてしまったため、最後にきれいな景色を見せてあげようと、森や夜景などを巡り眼鏡に見せてあげる。
実はその眼鏡の持ち主は主人公ではなく、彼の幼なじみ。彼は幼なじみを「メガネ」と呼んでいた。やがて各地を巡るうちに、「メガネ」のことが思い出され…。
主人公が長年連れ添った「メガネ」を悼む感情をストレートに表現するピュアなストーリー。また、親友としての「メガネ」と道具としての「眼鏡」の使い分けが巧みになされ、強い想いを馳せて「メガネ」を“弔う”主人公の様子が愛情豊かに表現されている。最後のオチも完璧で、ツイッター上では「尊い」「泣いた」「よすぎる」「大好き」「鳥肌がぶわっと…すごく好きです」など多くのコメントが寄せられ、反響を呼んでいる。
――『長年連れ添ったメガネが死んだマンガです』を創作したきっかけや理由があれば教えてください。
家で使っている自分の眼鏡がこういう壊れ方をしてしまって、チェーン店の眼鏡屋に持って行ったらこれは直せないと言われたのが悲しくて、描きました。
――本作の途中で「メガネ」と「眼鏡」の使い分けがされています。どのように物語の工夫をなさったか、お教えください。
工夫というほどではない話なのですが、描いている途中では実は主人公の一人称が「おれ」「俺」で混在していて…、文字の使い分けに意味がある話になっているため、描き終わった後に読み直していて、あぶねっ!!と思って「おれ」に統一しました。
――本作の中で、枝田さんが特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
主人公の回想の言葉でメガネの顔が隠れているシーンです。マンガだからできる表現だよなーと思っています。
――枝田さんは本作に限らず、「死」といった重いテーマを含め、人間の本質に迫る作品が多いのが印象的です。創作されるうえで、意識されている点がありましたらお聞かせください。
自分が描いていてテンションが上がるものを描いていたらこうなっていました。
――枝田さんは、シンプルな構成でも「愛」や「尊さ」をテーマに創作されているように思われます。ストーリー展開の上で意識されている点がありましたらお聞かせください。
言語化できるほど自分の中で何かしら方法論等が確立しているわけではないというのが率直なところですが、登場人物が、私の描きたいシーンのために思ってもないことをやらされている、言わされている、という感じになってしまっていないか、言動は自然か、というところは、意識している…かも…しれません。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
読んでくださりありがとうございます。どういう状態になれば漫画家を自称していいのかわかりませんが、漫画家として生きていけたらいいなあと思っているので、応援していただけると嬉しいです。
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