長妻怜央×石川凌雅、初共演の『箱入りミュータント』を語る 意外と壮大なテーマは「星の王子さま」みたい

2人が考える2.5次元の魅力とは?


──この作品は、DMM TVオリジナル番組企画「2.5次元的世界」の1作です。普段から2.5次元舞台にも出演されているお二人は、2.5次元作品の魅力や面白さをどういうところに感じていますか?

石川 マンガやアニメの、想像の中にしかなかったものが、直接目の前で見られるというのが一番の大きな魅力だと思います。演じる側としては、キャラクターと同じ衣装を、しかも本気で作られた衣装を着られることですかね。こんな贅沢なことはないじゃないですか。着る側も「本物だ!」と感動しますし、お客さんにも本物感を感じてもらえたときに「2.5次元っていいな」と思います。

長妻 マンガとかアニメって、キャラクターに感情移入しながら観ることが多いけど、実際にそのキャラクターになってみると、意外とそうじゃないんじゃないかなと思うことが結構あって。2.5次元作品ではないんですが、以前出演した舞台『タンブリング』に、試合が終わって、勝ち負け関係なく達成感から全員が「よっしゃー!」と喜ぶ場面があって。そのときに「全員が全員『よっしゃー!』ってなるかどうかはわからないな」と思ったんです。喜んでいるにしても「よかった……」と噛みしめるように喜ぶ人もいるわけだし。物語は主役目線で描かれていますけど、キャラクターそれぞれに深みが出る。それが2.5次元舞台の魅力なのかなと思います。

──当たり前ですが、キャラクター1人1人に感情があるということを思い出させてくれるのが2.5次元舞台だと。

長妻 はい。マンガやアニメだと一枚の場面に切り取られるけど、舞台だと俳優がずっと舞台上に存在しているから、映っていないシーンや描かれていない瞬間に、あのキャラクターはどういう顔をしていたんだろうと考えながら演じることで、より深くなるなと思いました。

──では最後に、お二人の俳優としての今後の目標や展望を教えてください。

長妻 毎回、作品に出るたびに「お芝居、すごく大好きだな」って思うんです。中でも僕が好きなのは、お芝居なのか、お芝居じゃないのかわからないような作品。そういう意味では「箱入りミュータント」はそれに近くて。「本当に笑っているのか、お芝居で笑っているのかわからない」というのが僕にとって一番の褒め言葉。そういう言葉をもらえるような俳優を目指していきたい。自分が納得できるようなお芝居ができる俳優になっていきたいです。

石川 同じかも!僕は「男はつらいよ」シリーズがすごく好きなんですが、あれもセリフなのかアドリブなのかわからないなと思うシーンがいっぱいあるんです。ああいう芝居ができる俳優になりたいというのは、僕も理想像の1つです。“演技している”という感じじゃなくて、本当にそこに生きているような役者になれるように僕も頑張りたいと思っています。

長妻怜央(左)、石川凌雅(右)撮影=友野雄

■取材・文/小林千絵
撮影/友野雄