“2時間サスペンスの帝王”から、ドラマ、バラエティーと活躍する俳優・船越英一郎。年末は世間と同じように、いや世間以上に多忙な船越の出演映画「ウルルの森の物語」が12月19日(土)に公開になる。
「ウルルの森の物語」は、絶滅したはずの野生種・エゾオオカミがもしも生きていたら、というファンタジックな冒険物語。母親の入院のため、離婚した父親・大慈(船越)がいる北海道で一夏を過ごすことになった昴(桑代貴明)としずく(北村沙羅)の兄弟。父親との関係はギクシャクし、田舎生活にも戸惑う2人が偶然拾った子犬のウルルは、絶滅したはずのエゾオオカミである可能性が高いとして、野生動物保護協会に預けられることに。まだ見ぬ母オオカミの元にウルルを帰したいと願う昴としずくは、ウルルを連れて逃げ出してしまう。
本作が持つメッセージについて船越は「本作では次から次に奇跡的なことが起こるのですが、見返すと魔法は一切出てこない。奇跡を起こしたのは家族のきずなと信じる心。どんなにつらい状況にいても、誰でもファンタジーの世界を作れるんだというメッセージがあると思います。静かに胸に迫ってくるような感動とファンタジー性を持ち併せているところは、“ジブリ+ディズニー=ウルル”と表現したいですね」と話す。
演じた大慈は、野生動物の救急医の職に従事し、仕事に夢中で家族との距離は遠くなるばかりという、ちょっと駄目な父親。そんな役柄に苦労したのではと思いきや、船越は「駄目な父親役はまったく苦労しなかったんですよ(笑)」と意外な答えが。「僕も似たような子育てをしてるんですよね。結婚して、相手に子どもがいて、大慈と同じように、最初はうまくいくわけがなく、つまずいたり転んだりしながら乗り越えてきたんです。ですから、僕にとってこの作品は自分自身の子育てをなぞらえさせてもらった、僕の子育てのドキュメンタリーのようにも思えます」。
ドキュメンタリーという言葉は、船越だけに当てはまらない。昴役の桑代(12歳)としずく役の北村(8歳)という子役2人について、船越は「昴としずくは感受性が服を着て歩いているような子どもたちでした。親元を離れて撮影現場に放り込まれて、自然や大人たちと向き合い、“ものづくり”の現場でつらいことや楽しいことを吸収して3カ月間を過ごした、2人の成長ドキュメンタリーでもある。映画の冒頭からラストまで順番撮りに近い形で撮影したので、2人の成長ぶりは見て分かると思います」とのこと。これも1つの見どころとなりそうだ。
また本作の大きな魅力の1つは、北海道の大自然や動物たちだ。子犬のウルルはウルフドッグというオオカミに近い犬種で、「スクリーンに手を伸ばして触れるものなら触りたい衝動にかられるくらいかわいい」と船越も絶賛。しかし、3カ月にわたるロケ撮影は苦労も多かったとか。「自然は恵みもくれますが、厳しくもある。今回はその“厳しさ”が雨でしたね。最初の20日間で4日しか晴れ間が出なかったんですよ。さすがに恨みましたね〜」と思い出してもつらいといった様子。だが、「雨で撮影ができない代わりに、子どもたちと過ごすぜいたくな時間ができたんです。僕たちはクイズをしたりしりとりをしたり、映画の物語について、『なぜこういうことを言うと思う?』と子どもたちと話したりできたんです。当然、きずなが深まりますし、子どもたちの物語への理解も深まる。それが、今思えば“自然の恵み”だったのかなと。恨んですいませんでした(笑)」と振り返った。
(2)へ続く
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