子どもたちと良い関係を築いて完成した本作。船越自身は、撮影を通して、また、完成した映画を見て父親としても心を動かされたようだ。「子どもたちが、本気で芝居をするということを体で覚えていき、本気の心で涙する姿を見て、最終的には大人たちが引っ張られていった。本当にすてきな体験でした。親はどうしても、子どもが大変な思いをしていると代わってあげたいと思ったり、実際代わってしまったりするでしょ(笑)。でもそれじゃ駄目なんですよね。この映画は、子どもの背中を見て父親も成長していく物語でもあるので、これから子育てをするお父さん候補や今まさにお父さんである方、もちろんお母さんにも見てほしい。子どもと一緒に見て、コミュニケーションツールにしていただきたいと思います」と本作の魅力を語った。
折りしもことしは“婚活ブーム”や相次ぐ芸能人の結婚など、家庭を持つということに関心が向いた年でもあった。「100年に一度というほど経済が冷え込んで、人々が疲弊しているんでしょうね。だから家族が必要なんだと思います。つらいことも楽しいことも共有して、一緒に乗り越えていける存在は家族だけですから」と家族のありがたみを感じているよう。さて、船越家では家族の信頼関係のために「全員が秘密を持たないこと」がテーマなのだとか。「家族の中では全員が話題を共有できるようコミュニケーションを取っています。まあ、ウチはよくしゃべりますから(笑)」と、松居一代夫人の明るい人柄もまた、家族関係の潤滑材のようだ。これから家族を作る人へのアドバイスは、「とにかく人間は動物と何が違うって“言葉”を持っていることだと思う。コミュニケーションをきちんと取り、信頼関係を築いて」と話した。
年末には本作のほか、ドラマ「その男、副署長」の最終回が12月17日(木)に、SPドラマ「椿山課長の七日間」が「ウルル−」公開日と同じ12月19日(土)に放送。さらに、本作のスタッフによる“動物モノ”の元祖である映画「マリと子犬の物語」('06年)も12月18日(金)にオンエアと、まるで“船越ウイークエンド”といった様相だ。「ことしで49歳、40代最後の節目の年をこんなにたくさんの仕事で終えられることは非常にいいことだなと。いやぁ、ことしは本当によく働きました!」と充実した表情。各ドラマの見どころについては、「『−副署長』では僕が演じる池永副署長に転機が訪れます。最終回にふさわしく、池永がどの道を選ぶのかという“選択”があり、また犯罪を通して人間には闇の部分もあるが生きていくことは素晴らしいんだという“人間賛歌”にもなった。涙腺がゆるむステキな最終回です。また、『椿山課長−』は死んだ僕を石原さとみさんが演じるという試みで、コメディーなんですが、これがまた泣けるヒューマンドラマ。ご存知でしょうが、『マリ−』も感動作ですからね、年末には映画とテレビで、船越が皆さんの涙を搾り取りますよ〜(笑)。片手にマツイ棒、片手にハンカチを握り締めていただいて、1年ためた心の汚れを涙と一緒に大掃除してください(笑)」と締めくくった。
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