デビュー10周年を迎えた秦 基博が、自身初となるオールタイム・ベスト・アルバム『All Time Best ハタモトヒロ』をリリース。この10年の間に「ひまわりの約束」をはじめ、数々の名曲を世に送り出してきた秦。
「『ひまわりの約束』は、自分が歌う以上にいろんな人が歌ってくれたり、『ドラえもん』の映画の主題歌というのを離れて、いろんな場面で聴いてもらったり。歌が1人歩きして、聴いてくれる人の毎日の中に響いて歌われていくことのすごさを感じることができた曲でした。一方で、作り手としてターニングポイントになったと思うのは、『アイ』。非常にシンプルだけど、すごく多面的で味わい深いっていう、自分が目指してきた表現に近しい曲になったというか…。『アイ』を作れたことは、1つの自信になりました」
今回、全シングルを収録した通常盤に加えて用意された“初回限定はじめまして盤”は、15曲全てがタイアップ付き。それゆえ、テレビやラジオから流れてくる自身の曲を、秦も耳にすることがあるという。
「すぐに自分の曲だって気付くときもあれば、しばらく聴いてから、あ、これ、自分の曲だったと思うときもあります(笑)。映画の主題歌を担当したときは、映画館に見に行きますよ。そこでは5.1サラウンド用のミックスがうまくいったかなど、音をチェックすることが1つ。それから、作品の一部として自分の音楽がどんな役割を果たせているかを確認します。そういう意味では、デビュー当時に比べると、曲に対して客観的かもしれないですね」
秦が今まで手掛けた楽曲は88曲(提供曲を除く)。その数に、「よく頑張ったなぁって思います」と笑う。
「初期のころは1年にアルバム1枚のペースで出してましたからね。まぁ、それも2枚目までですけど(笑)。そこから2年に1枚くらいになって、今は…3年に1枚(苦笑)。でもそれは、アレンジも自分でやるようになって、レコーディングに入る前段階にやる作業が増えたっていうのものあるんですけどね。あと、ツアーに出ていたりすると、なかなか曲が書けなくて。今は制作とライブの期間を、わりとはっきり区切っています。これも10年の間に自分に合ったやり方を探した結果、こういうペースに落ち着いたんです」
先日は地元・横浜スタジアムでの10周年記念ライブを敢行。2万5000人の観客が集まった。
「自分の中では、まだやっと10年だなぁっていう感じが強いんですけどね。でも、アニバーサリーということで、それこそハマスタみたいなところでやらせてもらったり、そこにたくさんの方が集まってくれて。そこであらためて、10年という年月のすごさとか、音楽のことだけを考えていたら10年経っていたということの幸せをすごく感じました。普段は本当に目の前の1曲のことしか考えていなかったりするので…。デビューしたころも、10年後の自分はこうであってほしいなんて、1回も思ったことなかったですし。なので、今からの10年をどう過ごすかっていうことも全く考えていません。新しい楽器に挑戦したくても、ギターで精一杯(笑)。もっともっと上手くなりたいんですよね。そんな風に今目の前にあること、音楽のことを考えてたら、“また10年経ってた”って、10年後に言えたらいいなと思います」
取材・文=片貝久美子
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