第1話は――
陽風台クリニックの副院長を務める内科医の陽子は、夫と息子と3人で、誰もがうらやむ幸せな家庭を築いている。陽子自身の美貌と名声もさることながら、同い年の夫・昂太は映像制作会社を経営し、若々しいルックスに優しい性格、ベッドの中でも結婚当初と変わらず陽子を愛してくれる。小学生になる息子・凪も明るく素直に育ち、自分の人生は完璧――そう陽子は思っていた、昂太が札幌出張から帰って来るまでは。
その日、陽子は朝から胸騒ぎを覚える。札幌出張から戻った昂太が女性用のリップクリームを持っていて、昂太のマフラーに自分のものとは明らかに違う色の長い毛が付いていたからだ。まさか女…?気が気でない陽子は、長い毛の女を一日中意識してしまう。
陽子の患者で最近レストランをオープンした美南(七瀬なつみ)、昂太の部下でシングルマザーの彩、家族ぐるみで仲良くしている絵画教室の先生・朋美(安藤聖)も、マフラーに付いていた色と同じで長い毛だ。中でも朋美は、昂太が持っていたものと同じリップも持っている。
翌日、同僚で親友の佳奈子(内田慈)は「考えすぎじゃない?」となだめてくれるが、不安でたまらない陽子は、診察を早めに切り上げ、会社帰りの昂太の後をつける。
――という物語が描かれる。
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