――今の形が確立されるまでには自分たちの創意工夫もあったと思います。ステージをどうしていくかという話はされますか?
高瀬:「こうした方が面白くない? この方が笑ってもらえそうじゃない」みたいな話はあちらこちらから聞こえますね。特殊だと思うけど、それだけ全員が今の形に納得しているからこその会話だと思います。楽曲や(公演の)構成台本を頂くと、それに自分たちから案を提示するんですよ。その提示するものの振り幅もすごく広がったと感じます。真剣に取り組んでいるからこそ、みんなが面白がってノリノリでやっていて。
平井:スタッフの方も私たちの考えを大事にして答えを返してくれるんです。そういう環境だからこそ発言しやすいし、意見交換をしやすいっていうのもありますね。
――スタッフでいうとデビュー時からMV制作やプロデュースに北野篤さん(博報堂ケルトCMプランナー。北野武氏の長男)が関わられていて、北野さん自身もBEYOOOOONDSとの仕事はキャリアの転機になったと話されています。あの方との信頼関係も厚く感じます。
高瀬:最初の方は北野さんの頭の中にあるものを何とか理解して頑張って再現する感じだったんですけど、だんだん私たちからも積極的に意見を出すようになり、話ながら形を完成させていくようになったんです。それこそ今回のMVも北野さんチームで、撮影の合間に少しお話させていただいたんですよね。そのときにBEYOOOOONDSは完成形のイメージをふわっとでも伝えれば自分たちで作ってくれるから、甘えられる現場なんだとおっしゃって。自分たちの中で出してきてくれるし、その出せるものがあるのがBEYOOOOONDSだと思っているよと教えてくれました。
一岡:嬉しいな。
平井:北野さんも私たちのブログ、SNSをちょこちょこ見てくださっているようで、だから、そのときそのメンバーの興味があるものを採用してくださるとか。楽曲の世界観を表現するだけでなく、BEYOOOOONDS自体もその世界観に組み込んでくれるのでオリジナリティーが出ているのかなと思います。
――メンバー間で意見が衝突するというのは?
一岡:ないよね。
平井:話し合いはもちろんあります。けど意見交換で、喧嘩になることはないですね。5年目になると悪い意味で慣れが出てきちゃうときはあって、そんなときは決まって誰かが「このままじゃダメなんじゃない?」ってみんなを引き締めます。
――緩和剤になる人はいますか?
一岡:(左右からすっと手が向けられて)いやいやいや…!
高瀬:いっちゃん(一岡)は溜め込んじゃう子の変化に気付いて、そっと横に来てくれたり、逆にあえてほっといてくれたりとか。多分それを意図せずやっているんです。
一岡:私、人間観察が好きだから、多分変化に気付きやすいっていうのがあると思います。
平井:助かっています。あと小林萌花ちゃんもその場面を整理してくれたり、ちょっと行き違いになっている子をフォローしてくれますね。
高瀬:萌花は冷静な目線で整理してくれる存在です。
――両A面シングルの1曲「夢さえ描けない夜空には」は合唱的な曲に、ちょっとレトロな歌謡ショー風なMVがいい雰囲気を出しています。
高瀬:楽曲を頂いたとき、学校での合唱曲や吹奏楽部の演奏に使ってもらえるような曲にしたいんだと聞いて、私たちも合唱パートは力を入れました。学生時代を彩る名曲に食い込んでいけたらいいなという思いがあります。
一岡:今までのMVに比べていい意味でシンプル。それこそリップシーンが多く使われていたり、ダンスもしっかり見られたり、音楽へのパフォーマンスをしっかり見てもらえるMVでもあると思います。
――歌詞の出だしが「夢さえ描けない」とくるので、一瞬暗めの曲なのかと思いました。
平井:曲名が公開されたとき、ファンの方の間でも「夢さえ描けない夜空には」のあとにどんな言葉が続くのかっていう話題があったようなんです。一切音源を出さずに、明るいMVと共に「夜空にはさせないよ」っていう私たちの決意、想いのようなメッセージを送れたのはすごく良かったと思います。けっこうメルヘンな世界観でもあるんですよね。それも私たちだからできる楽曲、MVだろうと思います。今までのMVでも泣けるという感想はあって、5年目になってもそれを変わらず届けますという意思表示でもありますね。
――「求めよ…運命の旅人算」についてはどうでしょう?
高瀬:「夢さえ~」も合わせてですけど、今回は小さい子たちにも聴いてもらいやすいシングルにできたという気持ちがあって、「求めよ~」は小学生で習う「旅人算」という計算式がモチーフになっているから特にそうなんですよね。ミニモニ。のお勉強ソングもですけど、子供の頃に聴いた歌って、ふと思い出してもちゃんと覚えているじゃないですか。この「求めよ~」も曲を頂いた瞬間、そういう歌の1つになれたらいいなと思ったんですよね。「ああ、これやったな」と思ってもらえたらいいし、現在進行形で旅人算を習っているお子様世代に「この曲で覚えた」と言ってもらえる未来になってほしいという気持ちで届けています。
一岡:「求めよ~」も、こっちはこっちでBEYOOOOONDSらしいMVになっています。で、みんなで観たときに美葉ちゃんは泣きました。号泣です。
平井:そうなんですよ。私、BEYOOOOONDSのMV観るといつも泣いちゃうんです。今回も例に違わずなんですけど、またちょっと気持ちが違って。「求めよ~」はMVで聴いた瞬間、「あ、『旅人算』ってBEYOOOOONDSの成り立ちなんだ」って感じて、そうしたらもう涙が止まらなくなって。それぞれが全く別の場所から頑張っていって、そして出会う。そこから全員でスタートを切って頑張り始めるって、「これ、私たちじゃん!」って感じたんですよ。
高瀬:「求めよ~」は曲もMVも賑やかさ、寸劇というBEYOOOOONDSらしさを残しつつ、グループの軌跡を見るような演出になっているんですよね。だからこそ泣いちゃったんだと思うし、BEYOOOOONDSを知っていれば知っているほど楽しくなるMV。逆に初見の人にはこれから追い掛けたいと思っていただける映像です。
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