“イケオジ俳優”の代表格・西島秀俊、世界的評価を受ける変幻自在の名優

2023/04/12 11:10 配信

ドラマ 映画 コラム

西島秀俊※2022年ザテレビジョン撮影

もし今、俳優・西島秀俊のことを思い出す場合。頭に浮かんだ彼は、黒いスーツを着てこちらに冷たい視線を送っているだろうか? それとも、白いニットを着てニコニコとほほ笑んでいるだろうか? 女性同士で行われる「西島さんのあれ、良かったよね~」から始まる会話は、お互い違う作品の話をしている可能性があるため注意が必要だ。CMだって、お酒やお菓子、ハウスメーカー、医薬品とどんなジャンルもこなし、好感度は抜群。それゆえ、世間の人の思う“西島秀俊像”というのはバラバラだ。

50代男性のトップ路線を走る“イケオジ”


1971年3月29日生まれの西島は現在52歳。最近では“イケオジ”などと称され、女性を中心に常に憧れの視線を浴びている。その魅力は作品ごとに漂う真逆のギャップだろう。硬派で陰のあるシリアスな役かと思えば、次の役はチャラかったり、セクシーさも大人の余裕も匂わせてくる。その逆もしかり。視聴者が出会う作品によって西島の印象は異なるのである。

テレビドラマ「はぐれ刑事純情派V」(1992年、テレビ朝日系)でデビュー後、「あすなろ白書」(1993年、フジテレビ系)などトレンディドラマに出演し、2002年には北野武監督の映画「Dolls」で主演に抜てきされた。その後、さまざまな監督から起用され、「カナリア」(2005年、塩田明彦監督)、「帰郷」(2005年、萩生田宏治監督)、「さよならみどりちゃん」(2005年、古厩智之監督)、「三年身籠る」(2006年、唯野未歩子監督)、「好きだ、」(2006年、石川寛監督)、「大奥」(2006年、林徹監督)、「休暇」(2008年、門井肇監督)、「東南角部屋二階の女」(2008年、池田千尋監督)、「蟹工船」(2009年、SABU監督)、「ゼロの焦点」(2009年、犬童一心監督)と映画出演作は多岐にわたる。

「ドライブ・マイ・カー インターナショナル版」は、4月12日(水)よりディズニープラスのスターで見放題配信開始(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

注目作「ドライブ・マイ・カー」で数々の賞に輝く


イランの名匠アミール・ナデリ監督の映画「CUT」(2011年)は、第68回ヴェネチア国際映画祭のオリゾンティ・コンペティション部門オープニング作品、第36回トロント国際映画祭出品作品、第16回釜山国際映画祭出品作だったりと、世界に名をはせる存在へ。

近年国内外で最も話題を集めたのは2021年公開の濱口竜介監督作「ドライブ・マイ・カー」が「第94回アカデミー賞」国際長編映画賞や「第74回カンヌ国際映画祭」脚本賞をはじめ、映画祭・賞レースを席巻したことだろう。西島自身も「第45回日本アカデミー賞」の最優秀主演男優賞や「第42回ボストン映画批評家協会賞」の最優秀男優賞など数多くの賞に輝いた。

村上春樹の同名短編小説を原作に、西島演じる俳優兼演出家の男・家福が、秘密を残してこの世を去った妻との記憶が刻まれた愛車に乗って、行き場のない自身の喪失感を見つめ直していく物語。この作品で、西島の持つ“黙っていても絵になる存在感”というのが世界に大きくアピールされたに違いない。「ドライブ・マイ・カー インターナショナル版」は4月12日(水)より、ディズニープラスで配信される。

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