コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は未来世界の立ち飲み屋を舞台に繰り広げられる宇宙生命体との日々を描いた『彼方からの奉公人』を紹介する。
陋巷酒家(うらまちさかば)シリーズに収録された本作を作者の丸岡九蔵さんが3月30日にTwitterに投稿すると、1.2万件を超えるの「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では、丸岡九蔵さんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
未来世界の地下街に迷い込んでしまった宇宙生命体は空腹限界、とある居酒屋のサバ缶をむさぼり食ったところを女将さんに見られてしまう。襲おうとするも食糧と寝床を与えてもらい優しく手当されたことをきっかけに女将さんが切り盛りする居酒屋でアルバイトとして働くことになったのだ。
「サバ缶のぶん働いてよねっ」という言葉とともに女将さんからビシバシしごかれる宇宙生命体は、サバオと名付けられ、いつしか居酒屋でも話題になっていた。はじめは言葉も分からなかったが、徐々に言葉が通じるようになっていき、エリートバイトに成長したのだ。そんなある日、居酒屋にあやしげな男が現れる。お店の売上金を奪おうとする男が女将さんに包丁を突き出した途端、サバオがとった行動とは…。
食糧のサバ缶と引き換えに居酒屋で働くようになった宇宙生命体との奇妙な生活を描いた本作。Twitter上では読者から「めっちゃほっこりした」「最高のオチ」「良い話過ぎる」などのコメントが寄せられ、「サバオ…いいやつだな」「サバオかわいい」などサバオの虜になる読者もあらわれた。
――丸岡九蔵さんがマンガを描き始めたきっかけや漫画家としてデビューした経緯をお聞かせください。
子どもの頃から漫画家になりたかったのですが、自意識が邪魔をして思春期以降は作品を描けずにいました。30代半ばになり自意識過剰が薄れてきたのでオリジナルの漫画を再び描き始め、同人誌イベントに参加しSNSに発表するようになりました。その自主制作活動が編集者さんの目に留まり、商業デビューを果たせました。
――『彼方からの奉公人』を創作したきっかけや理由をお聞かせください。
このシリーズ『陋巷酒家 うらまちさかば』は未来世界の地下街立ち飲み屋が舞台の漫画です。基本は4ページと短いので、たまには長いものを描こうと20ページの本作を企画しました。ページがいつもより長いのであれば内容もスケールを大きくしようと考え、宇宙からお店に珍客が訪れる設定を思いつきました。
――本作では、宇宙人が登場するというSF要素と居酒屋を舞台にした身近さのギャップが印象的です。漫画を描くうえでこだわっている点や気を付けている点はあるのでしょうか
未来世界が舞台の居酒屋漫画ですので、読者を置いてきぼりにしないために、作中に出てくる酒や料理は架空ではなく実在のものに限定しています。内容に関しても自分自身が実際に居酒屋で体験したり見聞きしたことを描くように心がけて、空想的要素とリアリティのバランスを取っています。
――本作の中で丸岡九蔵さんが特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
謎の宇宙生命体サバオはメカっぽい外見で表情が無いので描くのにやや苦労しましたが、そのぶん愛着がありますね。母船に帰還した後のシーンが特に描いていて楽しかったです。
――今後の展望や目標をお教えください。
自主制作漫画『陋巷酒家』を活動の基本としつつ、新たな商業媒体にもどんどん載っていきたいと考えています。商業活動の影響で新作発表が遅れがちですが『陋巷酒家』シリーズはずっと続けてゆく予定です。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします
丸岡九蔵の漫画を知って頂いたのはSNSきっかけの方が多いと思いますので、情報拡散などにご協力いただきつつ、今後とも新作をご期待ください。
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