“地上最強の射手”ホークアイ役ジェレミー・レナー、ピースフルで熱い男…人と人との絆を大切にする姿に好感

2023/04/16 06:10 配信

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リノベーション番組「レナベーション」は、ディズニープラスで独占配信中(C)2023 Disney and its related entities.

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のクリント・バートン/ホークアイ役で知られるジェレミー・レナーによるリノベーション番組「レナベーション」が、4月12日に配信された。同番組は、ジェレミー率いるエキスパート・ビルダー・チームが、故郷のネバダ州リノからイリノイ州、シカゴ、メキシコのカボサンルーカス、インドのラジャスタンまで、世界中を旅しながら、頭脳と技術を駆使して、廃車になった車をリノベーション(再構築)し、世界中を旅しながら地域に貢献していく姿を描いたオリジナル番組。ジェレミーの他に、MCUの“ファルコン/サム・ウィルソン”ことアンソニー・マッキーバネッサ・ハジェンズアニル・カプールといった有名俳優も出演しており、洋画ファンをとりこにしている。今回、幅広いエンタメに精通するフリージャーナリスト・原田和典氏が、本作の見どころを独自の視点からレビューする。(以下、ネタバレを含みます)

心にしみるドキュメンタリー


劇場公開中の映画「BLUE GIANT」を見てからというもの、再び自分の心にある“熱いもの”が目覚め始めている。不格好でも、不器用でもいいじゃないか。汗だくで、力こぶで、青筋を立てて、歯を食いしばっていてもいいじゃないか。泥臭かろうがなんだろうが、自分の目指すところに向かって、遮二無二になったほうが、結果的には爽快じゃないか。根性も気合も、上等じゃないか。それを久しく忘れていた。そういうのは時代にそぐわないんじゃないか、もっとクールでシティな感覚で行かなきゃダメなんじゃないかと、いつのまにか思っていたところがあったのだ。が、そこに刺激が入ってきた。だいたい、世の中をあれこれ見てキュンキュンする年はとっくに過ぎてしまった昭和男ではないか。熱く突進して、みんなが笑顔になるのなら、それが本望というものだ。

そう思いながら見たジェレミー・レナーのドキュメンタリー・シリーズ「レナベーション」は、ひときわ心にしみた。このジェレミーは、俳優である前に一人の熱い男だ。もう役割を終えたヴィークル(※人を乗せて移動する乗り物)の数々を、改装のプロフェッショナルたちとチームを組み、共に語り、意見を交換し合ってリニューアルし、それを必要としている地域の人々に提供しようという、「これを実行したらみんな、すごく喜ぶだろうなあ。その笑顔が見られたら俺は最高にうれしいよ」的な考えのもとに疾走する熱血漢である。

驚異的な回復力の超人俳優


俳優としてのジェレミーの存在感は「アベンジャーズ」シリーズでの“地上最強の射手”ホークアイを筆頭に、いろんな作品でご存じのはずだ。この正月には30カ所以上を骨折する重傷を負ったが、そこはさすがジェレミーというか、超人的なパワーで回復に向かっているというからスクリーン復帰も間近だろう。彼はまた大の音楽ファンであり、ヴィークルが大好きで、相手の性別や肌の色や信条にとらわれずにコミュニケーションを重んじる。

この「レナベーション」には、そんな彼のパーソナリティーがにじみ出ている。しゃべりは当然、演技作品での「セリフ」とは異なるし、あれほど整然とはしていない、ノリにノって会話しているうちに放送禁止用語までもが飛び出す。すごくリラックスしたジェレミーの姿に、親しみがどんどん増していく。もう一つ特筆すべきは、この作品がジェレミーの独り舞台ではないこと。チームを構成する面々の1人1人をフィーチャーし、彼らがいかに卓越した職人であるか、彼らがいるからこそのレナベーション・チームなのだ、ということを示す。