<天国大魔境>キルコの過去が明かされる一方で深まる謎…中毒性のある世界観がクセになる

2023/04/16 14:20 配信

アニメ レビュー

「天国大魔境」第3話が4月15日に放送・配信された(C)石黒正数・講談社/天国大魔境製作委員会

TVアニメ「天国大魔境」(毎週土曜夜10:00-10:30ほか、TOKYO MXほか/ディズニープラスで定額制見放題独占配信)の第3話が4月15日に放送・配信された。5年前の浅草で起こった事件がキルコ(CV:千本木彩花)により語られ、第2話でマル(CV:佐藤元)から告白されたキルコが「体は女なんだけど、脳みそは男なんだ」と打ち明けた理由と、キルコの過去が明らかになった。しかし、そのことで新たな謎も飛び出し、キルコの悲しい過去に同情するとともに、次から次へと謎が出てくる中毒性のあるストーリーに、見終わった後はどこかクセになる感情が心を支配していた。(以下、ネタバレがあります)

5年前の過去が明らかに


同作は、「月刊アフタヌーン」(講談社)で2018年から連載されている石黒正数による人気漫画が原作。連載開始直後から話題を集め、2018年12月には異例の速さで「このマンガがすごい!2019」オトコ編第1位にランクインした話題作であるため、原作ファンにとって待望のアニメ化となる。

未曾有の大災害から15年後、廃虚となった日本の地には“人食い(ヒルコ)”と呼ばれる異形の化け物が巣食い、人々は細々と身を寄せ合って生きていた。東京・中野で便利屋を営むキルコは、マルを「天国」に連れて行く、というボディガード依頼を引き受け、マルと共に「天国」を探しながら旅していた。一方、壁に囲まれた美しい世界で暮らす子どもたちの一人、トキオは「外の外に行きたいですか?」という謎のメッセージを受け取ったことをきっかけに、当たり前の日常に違和感を抱き始める、というストーリー。

5年間、電動カートレースの興行でにぎわう浅草。孤児院で暮らす春希(CV:伊瀬茉莉也)は、姉でレーサーの桐子(CV:千本木)や兄のように慕う稲崎露敏(CV:中井和哉)ら、共に暮らす仲間たちと幸せな日々を送っていた。ある日、レース中に“人食い”を目撃した春希は、姉や露敏の役に立つために一人で人食い退治に挑んでしまう。だが、春希の攻撃は人食いに全く効かず、春希は人食いに食い付かれてしまう。

「天国大魔境」第3話場面カット(C)石黒正数・講談社/天国大魔境製作委員会

春希の体は首と胴体以外食われてしまい…


一方、レース中の桐子はコース上で人食いを見つけ、他のレーサーに逃げるように指示。自身も逃げようとした矢先、人食いに下半身を飲まれて気絶している春希に気付く。電動カートごと体当たりして、何とか春希を助け出すも、春希の体は首と胴体以外食われていた。

その後、病院のベッドの上で目を覚ました春希は、自分の体を見て驚愕(きょうがく)。なぜか桐子の体になっており、自分の体も姉もいなくなっていた。何かを知っているであろう自身を手術した医者と、いつしか街からいなくなっていた露敏らを捜すため、春希は「キルコ」と名乗り、各地を巡っている中、中野でマルと出会ったことが明かされた。

SNS上では、「新たな謎が10倍になって返ってきた」「人格が入れ替わり? それとも姉の妄想?」「謎が深まった…」などと混乱する声も散見されるが、確かに謎が一個解明されたと思えば、新たな謎もそれ以上に増えてくる。“キルコ”=キリコ(の体)&ハルキ(の脳)ということなのかとは予想できるが、それでは説明できない部分も多い。

そして壁に囲まれた美しい世界で暮らす子どもたちのほうも徐々に闇深い部分が見え隠れしてきた。早くもこの世界観のトリコになっている。

◆文=原田健

「天国大魔境」第3話場面カット(C)石黒正数・講談社/天国大魔境製作委員会

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