民放公式テレビ配信サービス・TVer初の完全オリジナル番組「最強の時間割〜若者に本気で伝えたい授業〜」が無料配信中だ。4月14日(金)に配信開始となったLesson18では、漫画家の鳥飼茜が登場。自身の漫画でも描き、読者の心を抉ってきた“女のリアル”について語った。
「最強の時間割 ~若者に本気で伝えたい授業~」は、さまざまなジャンルのトップランナーが特別授業を実施し、ラランドのサーヤとニシダ、櫻坂46のメンバー、そして学生ゲストが参加。トップランナーたちの授業がアーカイブされることで、TVerに「最強の時間割」が完成するというコンセプトの番組だ。
Lesson18では、漫画家の鳥飼茜が講師として登場した。鳥飼は京都市芸術大学在学中に雑誌の漫画賞を受賞し、23歳で漫画家デビュー。これまでに宝島社の「このマンガがすごい!2014」のオンナ編にランクインを果たした「おんなのいえ」や性暴力をテーマにした「先生の白い嘘」、また映像化もされた「地獄のガールフレンド」や「ロマンス暴風域」など、たくさんの作品を手がけてきた。
なぜ鳥飼の漫画は読者の心に刺さるのか、今回の授業ではその秘密に迫る。教材は週刊漫画雑誌「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で2019年から昨年10月まで鳥海が連載していた漫画「サターンリターン」。本作は小説家の女性が自死した友人の謎を暴くミステリーで、いびつな性交渉、嘘、不倫、下流社会など現代社会をリアルに切り取りながら、ひとりの女性の“喪失”に迫る作品となっている。2022年に「ACBDアジア批評家賞」にノミネート。日本のみならず、フランスでも出版された。鳥飼は自身の漫画では実体験から得た感情をありのまま描くことを心がけており、本作にも友人の自死を受けて感じた思いを反映しているそうだ。
鳥海は自身のことを「恋愛体質」と語る。恋愛する上で溜まったフラストレーションを作品で排出するため、恋人から言われて嫌だった言葉もよくメモしているという鳥海。例えば、「サターンリターン」には肉体関係はあるものの、恋人ではない微妙な関係の2人が登場し、女性が男性の仕事中に何度も電話かけるのだが、うんざりする男性に女性は「だって好きなんだもん」と答える。それに対する男性の「勝手に好きなのはそっちの都合でしょ?」という台詞は、鳥飼が実際に付き合っていた男性からかけられた言葉だ。ずっとその時のことを根に持っており、自分の漫画でいつか使おうと心に決めていたという。
そんな風に自分の中でわだかまっている元恋人との喧嘩がたくさんあり、台詞だけではなくムカついた表情も思い出しながら作画しているそう。ある種、漫画を描く原動力になってくれた元彼たちに、鳥飼は「感謝しかない」と笑顔で語った。
櫻坂46・大園玲の「自分の過去をさらけ出してまで、伝えたいこととは?」という質問に、「自分に嘘がない状態でなければ、目の前の人を動かすことはできない」と答える鳥飼。様々な悩みを抱える読者の心を動かしたいから、鳥飼は恥ずかしくてもまずは自分の過去を漫画でさらけ出すようにしているのだという。
作画でも“リアル”にこだわっており、「サターンリターン」では実在する場所を参考に背景を描いたり、何種類ものグレーで着色して現実的な質感を表現した。そこに描かれている登場人物の「生っぽい表情」も見どころの一つ。特に泣き顔にこだわったそうで、鳥飼は「漫画だとどうしても可愛く描こうとしちゃうけど、そうではなくブスに描くのがポイント」と語る。泣くと誰でも不細工になるということを、見る人にもわかってほしいそうだ。
そんな鳥飼に、生徒から「どういうタイミングで人を好きになるのか」という質問が。鳥飼は告白されたら好きになるタイプで、「告白されたら順番に(付き合う)って感じ」と答える。また、沼にハマるような恋愛は若いうちに終わらせといた方がいいという鳥飼。「こういう男はやめておけ!というのはありますか?」という大園の質問にも、「ダメな男との恋愛も人生の幅を広げる経験になるので、“こんな人なのに好き”と思うような恋愛もやってほしい」と恋多き漫画家としてアドバイスを送った。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)