「Vライバー」を強化、17LIVE代表が語る今後のライブ配信市場とは

2023/04/18 19:00 配信

芸能一般

17LIVE・グループ CEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー/最高経営責任者)のアレックス・レン氏に「世界のライブ配信」「日本市場の可能性」「今後のライブ配信のトレンド」など、素朴な疑問をぶつけてみた。※ザテレビジョン撮影

国内最大級のライブ配信アプリ「17LIVE(イチナナ)」。新しいエンタメとして世界で拡大し、アジア、アメリカ、ヨーロッパで展開する、グローバルライブ配信プラットフォームとなっている。日本国内では希少な海外ユーザーと繋がれるプラットフォームだ。来日した17LIVE・グループ CEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー/最高経営責任者)のアレックス・レン氏に「世界のライブ配信」「日本市場の可能性」「今後のライブ配信のトレンド」など、素朴な疑問をぶつけてみた。

日本のライブ配信市場の発展はこれから、必要なのは「日本ならではの人気コンテンツ」

アレックス・レン氏※ザテレビジョン撮影


ーー今回、来日した理由を教えてください。

日本市場は我々にとってもコアマーケットです。その日本でのビジネスのあり方をしっかりこの目で見て、チームと一緒にこの後2023年、どのようにしてよりビジネスを拡大していけるかということを取り組むために日本に来ました。実は私は、80年代、小学生ぐらいの時代に日本にはよく来ていたんですよ。

ーーそうなんですね。その時代から日本はだいぶ変わっていますでしょうか?

大きく変化していると思います。日本国内のインフラが大きく変わってるのはもちろん、カルチャーにおいて進化していると思います。世界的に広まっているアニメや漫画といった日本のコンテンツは、昔は「国内で見られているもの」、あるいは「海外のコンテンツが日本で見られている」イメージがあったんですけれども、今はNETFLIXなど映像配信サービスやインターネットを経由してより海外の人が日本のコンテンツにアクセスがしやすくなりました。特に日本のアニメや漫画などのコンテンツが海外でも親しまれていると感じますね。

ーーアレックス氏はこれまで、ゲームの分野でビジネスをされてきた方だと聞いています。好きな日本のコンテンツはありますか?

いろいろありますよ。その日本のゲームで言えばやはりニンテンドーのスーパーマリオブラザーズにハマって、ストリートファイターやバイオハザードなどの日本のゲームは私も全部親しんでいました。世界的に人気になっているガンダムや、ドラえもんも自分も子どもの頃から親しんでいたので、日本のカルチャーについてはよく知ってます。最近はモバイルガチャに可能性を感じています。

ーーライブ配信の市場について伺います。グローバルマーケットと比較して、日本のライブ配信市場の印象はいかがでしょうか?

ライブ配信といってもいろいろなカテゴリーが存在するわけなんですけれども、やはりコンテンツによるところが大きいものです。他の国と比べて日本は若干、成長(発展)が遅いように思います。例えば中国を見るとライブコマースが浸透して、ライブ配信を通じて商品の売り買いがなされています。それぞれの国で人気が出るコンテンツが異なります。コンテンツによりトラフィックが増えて、そしてトラフィックが増えればそれだけリテンション(維持率)も上がるというような図式になってきています。やはりコンテンツ次第ですごく成長が見込める、ライブ配信はそういうエンターテイメントでありビジネスだと思っています。

――17LIVEが理想とするコンテンツとは?

定着するためには、ライバー(ライブ配信者)依存するのではなく、人気があるコンテンツが必要になります。それぞれの国のユーザーに刺さるコンテンツをしっかり出していくことが大事になってくると思います。我々のビジネスの核にあるのは、「エモーショナルコネクション」。人の感情に訴え、その繋がりを感じることで感動が生まれるという考えです。ユーザーが出会い、自分の目で見たものにいかに共感し、繋がりを感じる。

映像配信サービスのように編集され、既に出来上がったものをいつでも都合のいいタイミングで見るのではなく、今目の前でライブ(リアルタイム)で起きているワクワク感や感動が魅力であり、我々の強みだと思います。

ライブ配信は「嘘」がない、「台本のない面白さ」が魅力

アレックス・レン氏※提供写真


ーーエンタメを楽しめる多彩なプラットフォームがあります。ヒットするコンテンツは国柄もあると思います。日本のユーザーの傾向や特徴はいかがでしょうか?


日本のユーザーの傾向として、日本は長年アイドルビジネスが根付いているマーケットですよね。ライブ配信はリスナー(ライブ配信視聴者)が、ライバーにギフティングという機能を通して応援していきます。推しのアイドルに対して貢献する文化がアイドルビジネスの中であったわけですから、自分の推しのその対象の人に対して応援してその人が夢をつかめるように応援するという「ファン心理」みたいなものが日本のユーザーは強いのかなと思います。それも、日本のユーザーは、親が子どもの育つ様を一生懸命見守りながら応援している様子に近い印象です。

人気Vライバーのむらゆきさん※提供写真


ーー確かに、我々日本人から見てもアイドルビジネスは日本人特有の文化なのかなと思うところがあります。グローバル市場から見ると珍しい国民性なのでしょうか?


いえ、アイドルビジネスは日本に限ったわけではなく、いろいろな国でも存在しています。アメリカでは、ボーイズグループだとバックストリートボーイズがありますし、今はK-POPのBTSやBLACKPINKも世界で人気です。17LIVE発祥の台湾でもやはりそういったアイドルが人気でファンの人たちも熱心に応援しています。

ライバーはアイドルのような存在なわけで、それをリアルタイムで直接ファンの人たちと交流を図ることができるというプラットフォームです。いわゆる普通のアイドルであれば、ミュージックビデオやテレビ出演したものを、ファンの人たちが見るということです。アイドルビジネス自体は新しいものではないんですが、ライブ配信という新しい場で、ライバーを応援して育ててくところは面白いと思っています。リアルタイムでより生に近い形でそのファンと接することができるプラットフォームですね。

ーーもう少し突っ込んでお聞きします。なぜリアルタイムの魅力が、「エモーショナル・コネクション」につながるのでしょうか

目の前で起きていることに「嘘がない」ことが魅力ですね。目の前で話をしているので、編集されたものではないということです。目の前で起きている、ライバーの表情やテンション、話し方からその人ことを読み取れるでしょうし、日常的な出来事の話でも、ライバーの日常を垣間見ることで、パーソナルな魅力を感じることができます。

まさにライブ的な歌唱だったり、グループコールで複数のライバーによるトークもまた面白かったりします。色々な楽しみ方があり、何が刺さるかは人それぞれだと思うのですが、我々としてはより多くの人が楽しめるよう日々いろいろな開発をしています。ギフトはその機能の一つであって、それによって対話のマネタイズができるわけです。


ーー嘘や過度な演出がない、いわゆる「ノーフェイク」を自分の目で見ることは、まぎれもない事実なわけですね。

「台本のない面白さ」が魅力だと思います。