BTS・SUGA、マイペースで“無気力な表情”と甘さのギャップ…ARMYを魅了してやまないラッパー兼プロデューサー

2023/04/20 08:10 配信

バラエティー 音楽 コラム 動画

ダンスに打ち込んだ練習生時代


だが、ソウルに上京してからの寮生活も楽なものではなかった。両親が音楽の道に進むことに好意的ではなかったため援助は得られず、学費を稼ぐためにレッスンと並行して配達のアルバイトをしていた。その際に交通事故に巻き込まれて肩を痛めてしまう。事情を知った代表のパンPDが学費はサポートしてくれたが、肩は完治させぬまま活動を続行していく。当初は現在のようなダンスグループではなく、ヒップホップグループの予定だったため、その必要性を感じなかったのかもしれない。

しかし、プロジェクトの形態がヒップホップもするボーイズグループに変わり、ダンスも踊ることに。2013年にSBSで放送された「新人王防弾少年団」の中で、SUGAがパンPDに「ダンスは必要ない。ラップだけ頑張ればいいって言ったのに、他のグループと比べてもダンスが一番大変です!」と訴えるほど、彼らのダンスは圧倒的にはハードだ。そのためか、徐々に肩の状態が悪化し、2020年11月に手術を決行。約2カ月休業し、その後もリハビリを続けた。

元々はプロデューサー、作曲家志望だったのだから、すでにダンサーとして有名だったJ-HOPEらと並んでダンスをすることは容易ではない。そのため、SUGAは情熱を絶やさずに取り組まなければたどり着けない高みを目指し、遊びたいのを我慢してレッスンを繰り返す。そうして、徐々に増える練習生と時には喧嘩をしながら切磋琢磨し合い、2013年6月、ようやくデビューに漕ぎ着ける。現在のメンバーの仲の良さや、互いへのリスペクトはそういった経緯から生まれていったのだろう。

BTSメンバー、プロデューサー、そしてソロアーティストとして活躍


2013年、ようやくデビューを現実のものとし、シングルアルバム『2 COOL 4 SKOOL』からRMやJ-HOPEと共に楽曲制作に参加したSUGA。その実力が周知のものとなってからは、HeizeやIU、PSYなどの韓国人アーティストだけでなく、日本でも3代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの登坂広臣、米国アーティストのHalseyなどをプロデュース。また、ボーイズグループであるBTSではできないことをソロ名義のAgust Dで表現してきた。

4月21日(金)に発売される『D-DAY』は、2016年の『Agust D』、2020年の『D-2』に続く三部作ラストのアルバムとなる。ソロ名義のAgust Dとは、「DT(Deagu Town)SUGA」=大邱のSUGAを逆から読んだもので、彼自身を示している。1枚目の『Agust D』では、抱えている苦しみなどを包み隠すことなく吐露。2枚目の『D-2』でも28歳当時の心境や、彼を見下してきた者への怒りも真っすぐに伝えていた。

では、韓国で“重要な日”“決行日”という意味をタイトルにした3枚目の『D-DAY』は? 「人は変化するものだ」と言うSUGAは変わったことも恐れることなく見せてきたので、『D-DAY』には3月に30歳を迎えたSUGAの今が詰まっているはずだ。

同じプロジェクトの「SUGA: Road to D-DAY」でも、彼はありのままの姿を見せているのだろう。砂糖のような甘さと猫のようなマイペースさに加えて、ドキュメンタリーではどんなSUGAに出会えるのか。ぜひ確認してほしい。

SUGA: Road to D-DAY」は、4月21日(金)よりディズニープラス「スター」で配信開始。

◆文=及川静

関連人物