【推しの子】“伏線生えまくり”の初回に続き 第二話では成長した双子の“思い”明らかに

2023/04/26 07:10 配信

アニメ レビュー

成長したルビーの姿【推しの子】第二話より(C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会

赤坂アカと横槍メンゴがタッグを組み、これまでにない新しい切り口で“芸能界”を描く意欲作「【推しの子】」(毎週水曜夜11:00-11:30ほか/TOKYO MXほか※ABEMAで地上波同時配信、ディズニープラス・DMM TVほかで見放題配信)の第二話『三つ目の選択肢』が、4月19日に放送・配信開始した。今回、音楽・アイドルを中心とした幅広いエンタメ事情に精通するフリージャーナリスト・原田和典氏が、本作の見どころを独自の視点からレビューする。(以下、ネタバレを含みます)

アクア&ルビーの物語が本格始動


アイドルグループ「B小町」のセンターであるアイ(CV:高橋李依)が秘密裏に双子(アクア、ルビー)を出産し、その双子に他界したファンが転生、アイはますます人気上昇、B小町のドーム公演も決定、狂信者によるまさかの刺殺、少年に成長したアクアが事件の解明や、自分の父親が誰であるかを知るために動き始める。このへんが太い幹になって、すごい数の枝葉、いや伏線が生えまくっていたのが約90分に及ぶ初回だった。

あの駆け巡る展開に、いったい十何年の物語が詰め込まれていたことだろう…と同時に、第一話でアイが死んでしまったことにより、今後の物語を動かしていくのは必然的にアクア(CV:大塚剛央)とルビー(CV:伊駒ゆりえ)であるだろうという予測もたった。共にアイのファン、共に転生したといっても、2人のキャラクターはまるで異なる。難病の少女・さりなから転生したルビーは毎日を健康に生きることができているというだけでうれしそうで、ルックスも憧れの母親に似てきた。医者・ゴローから転生したアクアは冷静沈着、常に「これをしたらどう楽しいか」より「これをしたらどんなリスクが起きるか」を大きく念頭において、ニコリともせず毎日を過ごしている。

だが、第一話はあんなに濃かったのに、それでもイントロダクションだったのだ。これから続いていく物語の、本で言えば「まえがき」的なのを読んでいたのだ、ということが分かるのが第二話である。センターを失った「B小町」は、その2年後に解散。彼女たちの所属事務所であった「苺プロ」も、アイドル運営から遠ざかった。だがルビーはアイドルになりたい。「さりな」時代には病弱で寝たきり、当然踊ることもできなかった。だが今は健康な体があるし、とにかくアイドルになりたい。だがアクアはそれをよく思わない。母親と同じ最期を迎えないとも限らないからだ。

【推しの子】第二話より(C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会

ルビー、母と同じアイドルの道へ


もう死の連鎖は嫌だ、と思うのは医者の魂を持つアクアとしては当然のことだろう。だがルビーはアイドルになりたい。これは彼女の夢なのだ。当然アクアら周りの人物は諭すが、他人にどうこう言われてやめてしまうものなど夢でもなんでもないから、ルビーの思いは強まる一方だ。その本気の姿勢に打たれ、「苺プロ」はアイドル運営を再開する。「苺プロ」の新社長で戸籍上の母でもあるミヤコ(夫にあたる前社長は失踪)も、アクアも、そのあたりが最善であろうという落としどころにたどり着いた。

ルビーは芸能コースのある高校に通い、彼女よりはるかに偏差値の高いアクアもあえてそこの普通科で学ぶことにした。そんな双子が廊下で出会ったのは、かつてアクアが子役だったころにスター的な扱いを受けていた、“重曹ちゃん”こと有馬かな。天才子役と呼ばれ、下のスタッフをなめて、天下を取ったような気分だったが、アクアのごく自然な、飾らない演技を見て悔し涙を流した因縁がある彼女。約10年ぶりに再会したところで第二話は終わる。元天才子役も少女になって、少し常識を身に付けたのか、やっぱり増長しているのか。そのあたりも含めて、第三話は高校生になった有馬かなの存在がキーになりそうだ。

また、アクアが映画作りを学んでいる監督・五反田泰志は、第二話でも「名言集、確定!」的な、キザなまでに磨き抜かれたフレーズを次々と言う。だが彼には、とても面白い、世話焼きの母ちゃんがいて、かっこよくキメようとすると出てくる。こうした脇役の活躍も、ますます見逃せなくなってきた。

◆文=原田和典

【推しの子】TVキービジュアル(C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会