コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、異世界に転移した女の子が魔王城の食堂で奮闘する姿を描く『魔王城の料理番〜コワモテ魔族ばかりだけど、ホワイトな職場です〜』をピックアップ。
webマンガサイト「くらげバンチ」(新潮社)にて連載中の本作。作者のワイエム系さんが3月28日に第1話「転職先は魔王城」を自身のTwitterに投稿したところ、6.1万以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んでいる。この記事ではワイエム系さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
両親に借金を押し付けられ、仕事もクビ、さらには火事で家をなくしホームレスとなったツムギ。ある日、拾い食いにあたって倒れていると、突然の違法召喚によって異世界に転移させられてしまう。戸惑い、逃げ隠れているところを魔王城の騎士団に保護されるツムギ。元の世界である日本に帰されそうになるが、ホームレスには戻りたくないとゴネにゴネて送還を拒否。そうしてツムギは“人間だとバレないこと”を条件に、魔王城の食堂で働くことになる。
魔族はガラが悪く、人使いの荒さに翻弄されるが、ツムギはそんな同僚を怖がる暇もないほどに職場でコキ使われる毎日を過ごしていた。雑用でさえ体力が追いつかないツムギに、魔王城食堂の料理長で魔族のゾルトはいつも「故郷に帰れ」と圧をかける。そんな中、ツムギはゾルトから「裏庭でスライムをとってこい」と仕事を与えられる。
裏庭に出向いたツムギは、スライムに遭遇するも捕まえ方がわからず悪戦苦闘。恐怖のあまり大きな木の上に登ってスライムがいなくなるまでやり過ごしていると、いつの間にかあたりは真っ暗になっていた。そこへ、心配したゾルトがやって来る。その姿に嬉しくなり木の枝から身を乗り出したツムギは、不意に手を滑らせて木から落ちてしまい…。
ホームレス生活に戻りたくない“ニンゲン”のツムギが、異世界で魔族にコキ使われながらも彼らの役に立とうと奮闘する姿を描く本作。ゾルトとの恋の行方にも注目が集まり、Twitter上では「すごく面白くて一気見しちゃいました」「ここ最近で読んだ漫画で特に面白い」「心が温まる」「ゾルトさんとの掛け合いが良い」「こういう視点の異世界モノ楽しい」「今までの転生系で一番好き」など、読者からのコメントが多く寄せられ反響を呼んでいる。
――『魔王城の料理番〜コワモテ魔族ばかりだけど、ホワイトな職場です〜』はどのように生まれた作品ですか?
以前から「小説家になろう」さんで様々な作品を愛読しており、自分でも異世界転移モノが描きたいと思っていました。転移モノは「日本に帰りたいのに帰れない」や「日本に帰れないけど帰らなくていい」という状況が定番ですが、逆に「日本に帰りたくないのに帰らされそう」という状況になったら面白いのではないか?と思ったのがキッカケです。
そして「帰りたくないくらい居心地がいい場所」として"人間の国"より「普通は居たくないはずの場所」というイメージがある"魔族の国"をエンジョイしていたら、そのギャップが良いギミックになると考えました。
そうしてこの話をフワフワさせていた時、ちょうどくらげバンチさんに声をかけていただき、なんやかんやあって連載する運びとなりました。
――魔王城の食堂で働く“人間”のツムギと、料理長で龍人のゾルト、それぞれのキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか?
まず「日本に帰りたくない」という状況にする為、ツムギには「宿なし・職なし・身寄りもないのに借金はある」の四重苦ヒロインになっていただきました。心が痛みます。でもただの悲劇のヒロインでは「帰らされそう」になったら素直に帰りそうだったので、魔族を恐れず食らいつくガッツのある子じゃなきゃなと思い、こうなりました。
そんな孤立無縁ながらも無鉄砲に奔走する子を相手取るなら、口うるさいけど面倒見のいい人じゃなきゃ無理だろうと思い、こうなりました。
――作中の料理はワイエム系さんご自身で写真を撮って描かれているとのことですが、作画についてのこだわりや特に意識している点などありましたらお教えください。
意識している部分は「親切に作る」という点です。漫画を読んでいる最中に違和感があると、脳が混乱して集中力がプツリと切れてしまうので、没頭して楽しんでもらえるようにユーザビリティの向上を目指しています。と、そんな計算しながらやっている一方、料理漫画は今回が初の手探り状態なので「とにかく美味しそうにみえるように頑張る」というパッションのみで料理シーンを押し切ろうとしてます。私の成長を見守ってください。
――Twitterで本作を公開後、6万以上の「いいね」とともに単行本発売を待ち望む読者の声が多く寄せられています。今回の反響についてワイエム系さんの率直なご感想をお聞かせください。
正直ホッとしました。喜びよりも先に安心が大きかったです。そして、単行本を求めてくださる方に、まだ出せてなくてスマンという申し訳なさも感じました。私は何も悪くないのに。
とにかく不安だったので、目に見える形で良い反応をもらえ肩の荷をおろすことができたのも皆様のお陰です。ありがとうございます。このまま一巻発売まで私のこと忘れないでください。
――本作の中で特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?
18pでツムギがスライムに襲われるシーンです。どこまで顔を崩していいか、ここが今後の指標になるだろうと塩梅を測るのに試行錯誤しました。今後も可愛さを担保しつつ顔芸を披露していきたいです。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
ゆくゆくはツムギとゾルトの関係を進展させ、読者さんの口角が耳まであがるほど喜ばせられるように連載が長く続けられることが目標です。
もちろん料理シーンで美味しそうって思って貰いたいし、ツムギの奮闘や厨房メンバーのわちゃわちゃも楽しんでもらいたいです。とにかく色々な面でファンの皆さんに満足してもらえるよう務めるので、引き続き応援ご愛顧ご贔屓のほど諸々よろしくお願いします。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)