声優、YouTuber、モデル、コスプレイヤー、そして2022年7月からは自身名義での音楽活動も。「マルチタレント」を掲げ、さまざまなジャンルで活躍する夜道雪(よみちゆき)のコラム連載、「夜道 雪のBlowin' the Night wind！(夜風に吹かれて！)」がスタート！ 地元・北海道から上京し、現在の「表現者・夜道雪」が生まれるまでの道のりを、「夜道節」で綴っていきます。
月に一度、飛行機に乗り北海道と東京を行き来しています。
窓側の座席に座り、流れていく外の景色を眺め一息つく。スマホの電波がなくなり世の中の情報がすべて遮断されるこの時が私にとって最も頭が冴える時間となります。
過去のコラムの文章も実はこの時間に書き上げていた事が多いです。
仕事の事、家族の事、これまでに死別した人たちの事、壊してしまった大事なもの、辛い事苦しい事、昔好きだった忘れかけてた音楽、辛く当たってきた人達、騙されて失ってきた物、死後の世界、生きる理由。
全ての余計な情報が遮断され無となった場で何気なく時間の流れを感じていると私の脳内に負の感情が積み重なっていくことが多いです。
でもこれは飛行機に乗ったから負の感情が募っていくわけではなく、もともとこういう心情だったものが情報社会であるこの現代において誤魔化されていたというだけの話だと感じています。
こんな時、まるで心がむき出しになっているようなそんな気がしています。
そう思うと、気持ちに誤魔化しのきくこの現代社会はとてもありがたい世の中です。
先日このようなトピックを見かけました。
［現代人はスマホばかり見るようになった事で、色々なことを考えてしまいネガティブになる]
果たして本当にそうなのでしょうか？
インターネットがない時代を知らない私は、情報で脳内を埋め尽くす事以外の方法で目の前にある苦痛を誤魔化す方法がわかりません。
学校で先生に怒られてる時、アルバイト先の先輩に怒られている時、上司に怒られている時、なぜか後輩にも怒られている時、思えばいつも頭の中で必死に別の事を考えていた。
「芸能人のあの人、不倫したんだっけか、闇営業だっけ？ あれ？ 違うかな。よく覚えてないけど酷いことするなあ。近くで不審者出たらしいから帰り道気をつけよ。あ、今日の夜好きなアニメあるじゃん、録画しないと」って。
理不尽を前にした時、まともにやるせない気持ちと向き合っているといずれ壊れてしまいそうな気になるからです。
だから心の逃げ道として情報は必要なのです。
そう、それは心の防具。
苦痛に苛まれた時に、無理に明るく振る舞う必要はないし、かと言ってこれ以上の涙を流す必要だってない。
心のうちに自分じゃない他人の人生の一部を僅かに入り込ませ、自分自身の事を一旦忘れ去る。そういう時間があってもいいんじゃないかな。
飛行機に乗り雲の上まで到達すると幻想的で素晴らしい景色を見ることができます。
青色と水色のグラデーションの空に、一面に広がる真っ白な雲。
それでもいつかその真っ白な雲は雨雲に変わります。
地面からは分厚い雲に遮られ青空は見えません。
ある方から見れば美しい景色で、また別の方から見ると重苦しいような景色に変わります。
そういう世界に生きているなぁと思いながら今日も空と心の旅しています。
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