小さい頃から慣れ親しんできた思い出がある分、厳しい目で評価されることの多い実写作品のキャスティング。特に本作は70年の歴史がある分、脳裏に焼き付いたイメージがより強いが、それぞれのキャラクターの特性を見事に捉えたキャストが集結した。
軽快で冒険心溢れるピーター・パン役には、ロンドン出身16歳のアレクサンダー・モロニーが抜擢。これまで主に海外ドラマで活躍していた彼は、本作で長編映画デビューを果たした。
面倒見がよくて恐れ知らずの少女ウェンディ役は、ミラ・ジョヴォヴィッチを母に持つエヴァー・アンダーソンが好演。本格的に俳優活動を始めた「ブラック・ウィドウ」に続く、2作目で大役を射止めたエヴァーは存在感を発揮し、早くも大物になることを予感させるオーラを放っている。
さらに製作段階から話題を呼んでいたのがフック船長役をハリウッドきっての二枚目俳優ジュード・ロウが演じること。ジム・ガフィガン演じるスミーとナイスコンビネーションを発揮。二人の息の合ったコミカルなコメディパートもみどころだ。
さらに「ブラッキッシュ」のヤラ・シャヒディがティンカー・ベル役を、アリッサ・ワパナータがタイガー・リリー役を演じるが、特に注目してほしいのがマイケルとジョン役のジョシュア・ピカリングとジャコビ・ジュペ。アニメーションから出てきたかと思うほどの見た目の再現度はもちろん、冒頭のちゃんばらごっこのシーンなどでみせる自然体の演技がお見事。
これだけ多くの子役を束ねることは簡単なことではないに違いないが、ロウリー監督は子供たちの好奇心に輝く瞳など、演技を超えた表情を引き出すことに成功。ジュード・ロウも「彼は素晴らしい対応をしてくれて、とてもハッピーな撮影現場でした。みんな彼のためなら何でもすると思うよ。彼は子どもたちにとても温かく接してくれていたしね」と監督を絶賛している。
お子さんと揃って家族で楽しめるのはもちろん、立ち止まることを忘れてしまった大人にこそ、ふと肩の力を抜くことを思い出させてくれる「ピーター・パン&ウェンディ」。幼い頃に何度も本を開いたように、何度も見返したくなるはずだ。
◆文=KanaKo
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