舞台『ブルーロック』潔 世一役・竹中凌平×蜂楽 廻役・佐藤信長、“エゴイスト”な主人公に共感「役者って結局、承認欲求の塊」

2人の思う俳優としての強みは?

竹中凌平(左)、佐藤信長(右)※提供画像


──「ブルーロック」では各人物が、ほかの選手とプレーする中で自分の弱点に気付き、克服していく様子が描かれます。お2人が、俳優という仕事をしていく中で、自身の弱点に気付いて開花したタイミングや、逆に自身の強みに気付いた場面を教えてください。

佐藤 僕、ダンスとか段取りを覚えるのがめっちゃ遅いんです。言われたことをその日に脳内で処理するのが苦手で。始めの頃はそれでめちゃくちゃ焦ってたんですよ。周りと比べて自分が全然追いついてないなって。でも覚えていなくて稽古が止まっちゃうよりは、メモを見ながらでも動いたほうがいいなと思って、当たり前のことですけど、言われたことは全部メモするようになりました。覚えるのは今でも遅いですが、今は「今日はできなかったとしても、次の日にできるようになっていたらいいや」と思えるようになりましたね。

竹中 僕もちょっと似ていて。初めてのちゃんとした舞台出演のとき、全く準備をしないで稽古に行ったんですよ。正直舐めていたところがあったというか……。準備どころか、復習もしなかったし、話も聞いていなかった。

──話も聞いていなかった?

竹中 舞台の経験がなかったから、何を言っているかがわからなかったんです。上手・下手がようやくわかるくらいだったので、なんとなく聞いている感じで。そしたらある日、演出家にめちゃくちゃ怒られて。それを経験したおかげで、今は必要以上に準備をするようになりました。復習も毎日やるようになったし。初めに痛い目を見てよかったなと思います。

──そんな葛藤の日々から見つけた、ご自身の俳優としての強みは何だと思いますか?

佐藤 僕はメンタルの強さかな。どうしても脳内での処理が追いつかなくて怒られることもあるんですけど、ちゃんと家に帰って落ち着いて考えれば、そのデータを引っ張り出せることがわかっているので、怒られているときはしんどくならないように、全部は受け取らないようにしています。

竹中 メンタルの強さは確かに大事だよね。

──竹中さんは、ご自身の強みはどこだと思いますか?

竹中 何だろう……あんまりセリフを噛まないとか? あと、お客さんの反応に左右されない、芝居がブレないというのを褒めてもらえたことがあるので、そこなのかな。それはさっき話したような失敗が糧になっていると思いますね。本番に向けてどれだけ準備すれば自信を持ってできるのかがわかっているから、積み重ねを大事にして。まぁみんなやっていることでしょうけど。武器はそれくらいしかないですね。30代では自分の武器を見つけたいと思います。

佐藤 それでいうと、“30歳目前には見えない”というのは、凌平くんの強みの1つなんじゃないかなと思います。5年前くらいにも共演したのですが、当時から全然変わっていないから。僕のほうが1歳年下なんですけど、前回共演したとき、自分のほうが年上だと思ってタメ口で話していたら、実は年下だったということがあって。でもそのやりとりを忘れていて、今回も「確か僕より年下だったよな」と思って接していたら、まさかの年上だった。

竹中 普通、それは覚えてるよ(笑)。

──では竹中さんが思う、佐藤さんの強みは?

竹中 全てが型にハマっていないところ。ちゃんとオリジナリティや色があっていいなと思います。

佐藤 ありがとうございます。

──ご自身の強みを言っていただくより、お互いに言い合ったほうがスムーズでしたね。

佐藤 自分で言うの恥ずかしいし、あんまり自分のことは見えないよね。

竹中 うん、自分の強みが見つからなかった。

──しかし、それこそ「ブルーロック」ではそれぞれが、自分自身で弱点や強みを見つけて“エゴさ”を磨いていきますよね。

佐藤 そうですね。でも彼らもやっぱり誰かに何かをもらって開花したり、他人のプレーを見て気付いたりしますよね。それは僕らも稽古中からそうで。ほかの人の演技を見て「この前より精度上がっている」と思って、自分もギアが入ったりしています。

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