2023/05/07 19:30 配信
「物語の世界に溺れたい」。そんな気分の日は、せっかくならば、とびきり面白い小説に触れたいものだ。そこで今回は、月額料金980円(税込)で200万冊以上の書籍が読み放題となる「Kindle Unlimited」の中から、オススメの作品を10作品ご紹介する。紹介するのは、誰もが認める傑作ばかり。きっとあなたを虜にする1冊が見つけられるに違いない。
頭を殴られたような衝撃に、思わず、絶句。放心。読む者を巧みに騙す叙述トリックを取り入れたエログロミステリーが「新装版 殺戮にいたる病(講談社文庫)」(講談社)だ。
描かれるのは、東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラー、蒲生稔の姿。繰り返される凌辱の果ての惨殺は、あまりにも過激で目を背けたくなるほど。そして、震えながら、殺人鬼の行動と魂の軌跡をたどれば、いつの間にか作者の仕掛けた罠にまんまと嵌り込んでしまっている。
最後の最後に、描いていた世界が一瞬で音を立てて崩れ去っていく。二度読み必至。これほどまでに読む者を愕然とさせるミステリーは他にはないといっても、決して過言ではないだろう。
戦乱の世を描きながらも、これは現代にも通じる物語だ。世の中は単純に善悪など決められない。それなのに、どうして、人々は「悪」と決めつけたものを徹底的に叩こうとするのだろうか。
そんなことを思わされたのが、今村翔吾氏による歴史小説「じんかん」(講談社)だ。描かれるのは、松永久秀。仕えた主君を殺し、天下の将軍を暗殺し、東大寺の大仏殿を焼き尽くした「稀代の悪党」と知られる戦国武将だが、この作品を読むと、そのイメージはガラリと変わる。どんな事態に見舞われても、自分の正義を貫き通す。そんな主人公の姿はあまりにも美しい。まるで大河ドラマのような壮大なスペクタクル。普段歴史小説を読まない人でも心揺さぶられるに違いない名作だ。
心底「やられた」と感じさせてくれる、鮮やかな手口。タイトル通りの、切れ味抜群の叙述ミステリーが「ハサミ男(講談社文庫)」(殊能将之/講談社)だ。
美少女を殺害し、鋭利に磨かれたハサミを死体の首につきたてる猟奇殺人犯、通称・ハサミ男。ある時、3人目の犠牲者を決めたハサミ男は、その少女の死体を発見する。それも、彼女は自分の手口を真似て殺されていた。一体、誰が自分の真似をしているのか。ハサミ男は調査を始めることになり……。
犯人と刑事の視点が入り交じりながら物語が進んでいくが、そこには大きな仕掛けが隠されている。予想外の真相には誰もが度肝を抜かれること間違いなし。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)