本編が終わっても、視聴を止めてはいけない。PSYはもちろん、スタッフや共演者たちによる裏話的コーナーがあるからだ。コロナによって数年間、開催を断念せざるを得なかった「PSY SUMMER SWAG」が再開するまでの苦難や、なしとげることができた喜びが描かれ、同時に「完璧主義者」と言われるPSYの、妥協なきエンターテイナーとしての横顔にも迫っている。そんな妥協なき男だからこそ、ライブ前のオープニング映像に韓国の人気俳優マ・ドンソクがVTR出演していたり、ライブ本編にはほんの少しの出番なのにBTS・SUGAがサプライズ登場していたりする。よほど人望もあるのだろう。
ところで「江南スタイル」は、なぜあれほど流行したのか。2013年、アメリカ・ハーバード大学におけるスピーチで、PSYは次のように述べている。レコード会社が楽曲の動画をYouTubeにアップしたところ、世界各地から驚くほど多くのコメントがついた。1000万ビューを記念して大きなパーティを開いた。その後、ケイティ・ペリー、ブリトニー・スピアーズ、トム・クルーズらがこの曲についてツイートして、ジャスティン・ビーバーのマネージャーから電話がかかってきた…と。「成功したのは私の音楽性でしょう」とはいわず、芸能の大物たちが関心を持ったことによって国際的な認知を得たのだ、的なことを語っていて、そこに私はPSYの誠実さを感じた。
セレブは次のターゲットを探すのに忙しかろう。が、PSYはいまなお、サイコーにかっこよく、パワフルに音楽を続けている。とことん、オーディエンスに楽しんでもらいたいという姿勢は20数年前にデビューした頃から、1ミリも変わっていないはずだ。
「PSY SUMMER SWAG 2022」は、ディズニープラスのスターで配信中。
◆文=原田和典
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