イ・ヨニと東方神起のチョン・ユンホが共演する韓国ドラマ「私たちの人生レース」(毎週水曜2話ずつ配信)が、5月10日に配信スタート。第1話から、リアルを追求したストーリー展開が20代後半から30代の全ての社会人に“刺さる”作品となっている。(以下、ネタバレがあります)
同作は、ディズニープラスオリジナルの韓国ドラマで、平凡な社会人生活を送る女性主人公が、一流のPRウーマンになるべく日々奮闘し成長する姿を描いたオフィスサクセスストーリー。主人公・ユンジョを演じるイ・ヨニは、デビュー以来、初となるオフィスドラマに挑戦する。また、業界をリードするPRのスペシャリストのク・イジョン役をムン・ソリ、ユンジョの旧友で大企業の広報室に勤めるリュ・ジェミン役をホン・ジョンヒョンが演じる。さらに、若きCEOソ・ドンフン役を東方神起のチョン・ユンホが務める。
ユンジョ(イ・ヨニ)は家柄も学歴も普通そのもので、弱小PR会社で働くPRウーマン。情熱だけは人一倍の努力家だが、なかなか仕事に恵まれず報われない。一方、幼なじみのジェミン(ホン・ジョンヒョン)は、大企業「セヨン」広報室のエースで、2人のキャリアには雲泥の差があった。ある日、ユンジョに「セヨン」の大型競合に参加する機会が訪れる。彼女は奮起して素晴らしい企画案を提示したものの、社内政治で勝者は別会社へ。競合に負けて無気力になるユンジョだが、ジェミンから「セヨンがブラインド採用を始めた」という知らせが届き、ユンジョは一か八かの気持ちで履歴書を出すことで、彼女の人生は大きく変わっていく、というストーリー。
「平凡な社会人生活を送る女性主人公の成長物語」とだけ聞くと、どこかで見たことがあるような作品というイメージを持たれるかもしれないが、驚くなかれ、第1話から働き盛りの20代後半から30代の世代にはめちゃくちゃ“刺さる”内容になっていて、かなり面白い。その心は、徹底的なリアルさにある。ひと昔前の“韓流ドラマ”の特徴といえば、少々強引なストーリー展開が“創作物らしさ”を感じられて、現実から隔たった世界観を楽しめるところが魅力であったが、逆に言えばリアルとは一線を画したものだった。だが、いろいろな作品が世に出る中で、リアルさを追求したジャンルも生まれ、成熟し、新たな分野として確立されてきた。そんな背景の上で、現在の同ジャンルの最先端が同作なのではないだろうか。
社会に出てある程度経験を積んだ社会人の、現状に対する不満や未来への不安、同世代への嫉妬や理不尽な上の世代や理解不能な下の世代に対する絶望感など、現代人の誰もが抱える悩みやストレスの原因を違和感なくナチュラルに描きつつ、登場人物たちの生きざまに落とし込んでいる。いわば、共感性に特化した“刺さる”ドラマなのだ。
特筆すべきは、PR業界が舞台ではあるが、登場人物たちが直面する問題は誰もが共感できるものというのがニクいポイントで、制作陣の狙いもはっきりしているため視聴者にストレートに届きやすい。それもそのはずで、監督は「先輩、その口紅塗らないで」「運命のように君を愛してる」など登場人物たちの心情を丁寧に描くことに長けたイ・ドンユン、脚本はテーマとなる業界を裏側まで緻密に描く「ハイエナ-弁護士たちの生存ゲーム-」のキム・ルリが手掛けており、微に入り細を穿(うが)つ布陣となっている。
そんな最強の布陣の制作スタッフが創るリアルさをキーワードに作り込まれた世界の中だからこそ、作品の中で役として生きるイ・ヨニらの演技にひと際熱い熱を感じることができる。
◆文=原田健
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