西川貴教あるところヒットあり… 誰もが慕う“アニキ”の華と知性

2023/05/18 11:30 配信

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トークに歌にパフォーマンスに… 万能のヒットメーカー・西川貴教が持つ“華”テレビジョン撮影

1990年代に圧倒的な歌唱力を武器として、一世を風靡したT.M.Revolutionこと西川貴教。さまざまな名曲を世に送り出してきた大物アーティストでありながら、飾らないコミカルなキャラクターでバラエティなどでも著しい活躍を見せている。舞台や番組へ登場する度に話題を生む、西川貴教が持つ“華”の正体に迫った。

いくつもの大ヒットソングを生んだメジャーアーティスト


西川は1996年にT.M.Revolutionとしてデビューすると、3rdシングル「HEART OF SWORD 〜夜明け前〜」が人気アニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』のEDテーマに起用される。同曲が36万枚の大ヒットを遂げたT.M.Revolutionは、その後も「LEVEL 4」「HIGH PRESSURE」「WHITE BREATH」といった名曲を次々と世に打ち出していく。

1997年末にはNHKの「紅白歌合戦」に初出場するなど、一躍時の人となった西川。同年1月には、約8年半の長きに渡ってMCを務めることになるラジオ「西川貴教のオールナイトニッポン」がスタートしている。西川を語るうえで欠かせないのは、ユーモアあふれる人間性と飾らなさだ。特にラジオ番組ではリスナーとの交流が深く、番組を彩ってくれた“ハガキ職人”をスタジオ見学に招くこともあったという。

たとえば現在ニッポン放送の編集部ライターとして活動しているシオンJr.は、西川の番組にハガキを送っていた“職人”の1人。彼はWEBサイト「ニッポン放送 NEWS ONLINE」のインタビューで、西川の魅力を「とにかくリスナー思いで、一緒にラジオを盛り上げる仲間として接してくれるところですね。一言で言えば『親しいお兄さん』的な存在です」と紹介した。

CMになると収録ブースから出てきて、招待されたハガキ職人たちと話をする機会も作っていたという西川。気さくな人柄が伺えるというものだ。

彼のユニークな人間性は、その後の番組・CM出演の度に話題となる。特に2011年から放送されているトイレ用消臭剤のCMでは、迫力の歌声をフルに使った仕上がりが話題に。「ラララ」というスキャットに商品名だけが高らかに歌い上げられるだけだったが、後に作られた続編CMでは歌詞も新調。2022年にも同じ消臭剤の別バージョンを任されるなど、長く愛されるCMになった。

ファンの間で「歌唱力の無駄遣い」「だがそれがいい」と話題を博した作品は他にも。NHK Eテレの教育番組「天才てれびくんYOU」に登場したキャラクター・マーヴェラス西川として出演した「マーヴェラスTVジム」だ。西川が歌う童謡・アニソンなどに合わせて筋トレをおこなっていくという主旨の番組だが、身振り手振りしながら歌うマーヴェラス西川の存在感がスゴ過ぎて、画面中心のトレーニング風景がなかなか目に入らない。

「世界一気が散るトレーニング番組」をけん引したマーヴェラス西川テレビジョン撮影


西川本人が「日本一いや、もしかしたら世界一気が散るトレーニング番組」とツイートで告知するなど、主旨である筋トレよりも気になってしまうポイントが多い同番組。特撮番組のような鎧を着た衣装についても、ファンから「なにやってんですか(笑)」「イイ声過ぎて全然トレーニングが頭に入ってこない!」と嬉しい悲鳴が響いていた。

“愛嬌”を輝かせる西川貴教の“知性”


こうしたお茶目な印象の強い西川。彼をモデルにした可動式のアクションフィギュアが発売されたり、奇抜な衣装を着用していたMVへのイジりを容認する懐の深さも特徴の1つだ。

一方、“2.8次元”を目指したというイケメンアイドルプロジェクト「B-PROJECT」の総合プロデュースでは別の一面を垣間見せている。ヒットのきっかけになったアニメソングのほか、人気アニメ「ガンダム」シリーズの主題歌も担当している西川。アニメファンへの理解も相当に深いようで、男性アイドルをプロデュースするメディアミックス作品「B-PROJECT」に携わる際は“いかにプロデューサーやってます感を消すか”に注力していたというコメントもある。

メジャーアーティストがプロデュースするにも関わらず、その存在感を消すというのは普通なら考えづらい。しかし作品のファンが「アイドルと過ごす世界観」を楽しむためには、メジャーアーティスト・西川貴教が前に出すぎるのはマズいと考えたのだろう。自らが商品であるアーティストという職業にもかかわらず、ファンを楽しませるためには「存在を消す」という選択にも躊躇がない。ファンと向き合う時に見せる真摯な姿勢が、彼の人気を後押ししているのだ。

年齢を感じさせないエネルギッシュな肉体美も魅力の1つテレビジョン撮影


気さくで朗らかな人柄の西川は、ネット上では「西川のアニキ」として慕われている。特に前述のトレーニング番組でもそうだが、意外過ぎるコスプレや作品にも体当たりで飛び込んでいくことで度々話題をさらった。

たとえば2013年に雑誌『CanCam』でモデル・西川貴子としてデビューしたのは、印象に残っている。OL風の衣装に太ももまで出した健康的な衣装に、多くのファンが「なにやってんスかアニキ!」と驚愕。しかし時は流れ、2022年にも西川の意外過ぎるコスプレが登場した。スマートフォン向けアクションゲーム「東方アルカディアレコード」のCMで、主人公・博麗霊夢の巫女服風衣装を着た西川が割れた腹筋を披露しつつワイヤーアクションを繰り広げたのだ。

しっかりと化粧まで施された高クオリティのコスプレだったが、西川はそれでも「多くの方に愛されたキャラクターですので、ファンの方には申し訳ない、心苦しいという気持ち」とコメント。CMを見るのは笑って許せる人ばかりではなく、原作への愛が強い人・傷ついてしまう人もいるかもしれないと配慮したのだろう。「発注されたからやる」などと受け身の姿勢ではなく、真にファンの視点に立った言葉を発せられる“知性”というべきものが、いま彼がいる場所を築きあげたファクターではないだろうか。

言葉1つひとつを大事にするポテンシャルと、朗らかで愛されるキャラクターを持ち合わせる西川。最近ではバーチャル世界で“知事”という大役を就任している。無料のBS放送局「BSJapanext」で放送中の『西川貴教のバーチャル知事』という番組で、各所で日の目を浴びていない地元民御用達グルメ・スポットを紹介するというもの。

配慮とユーモアを併せ持つヒット請負人テレビジョン撮影


“地域創生を目指す”という難しいテーマを自ら掲げた同番組。各地方のアンテナショップを巡るだけでなく、実際に各地へロケをして魅力を発信することも。さらに市長との直接対談や、過去には初代地方創生担当大臣である石破茂をゲストに招いた対談までおこなわれている。理知的で言葉を選び、人を不快にさせない西川がMCを務めるからこそ実現した企画といえる。

つい先日は体調不良が騒がれたものの、4月には西川貴教の名前で6枚目となるシングル「Never say Never」をリリース、10月には「B-PROJECT」のアニメ第3期が放映開始と予定は目白押し。まだまだ第一線で活躍を続ける西川の進化に注目だ。