長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は「140×875」(毎週火曜夜25:56-、テレビ朝日系)をチョイス。
AIの進化がスゴイよ~仕事とられちゃうかもしれないよ~というのは何となく聞いたことがありつつも、いくらなんでも俺のほうが役に立つだろ漢検持ってるし、と話半分に聞いていたのだが、ChatGPTを目の当たりにして驚いている。さすがに現実味を帯びてくるというが、むしろ、あまりにザ・AIという感じで、いまいち信じ切れていない部分がある。タートルトークみたいに、後ろに人がいるんじゃないかと思わずにはいられない。確かに、もしあれが身体を持ったら、私など簡単にひねりつぶしてしまうだろう。漢検でガードする暇もない。
ハナコの冠番組『140×875』では、そんなChatGPTを利用したドッキリ企画が行われていた。ハナコの3人が、番組の打ち合わせと称して、ChatGPTから得たユーモアを使い、ターゲットである山崎怜奈とコミュニケーションを取ろうというものだ。
ChatGPTは、”緊張をほぐす挨拶”や、なんかを考案してくれるのだが、AIが考えたものなんで当然、ギクシャクとしている。AIにはユーモアセンスが無いのだ。あるとしてもそれは、「AIが言ってる」という前提のもと、一種のメタ的な笑いでしか無いはずで、生身の人間と人間でそんなコミュニケーションをやるとズレが生じてしまうのは当たり前の話。ハナコの3人は、生身の人間を相手に、AIから受けた指令をどうこなしていくのだろうか…!?
そのドッキリの一部始終、驚きの展開はぜひTVerでご覧になっていただきたい。ずっと「AIに敗北しています」というような顔をしている岡部が満点。あと、この番組、編集がいいなあと思った。なんか、すごい見やすい。どこがどう良いとかは分からんが、この番組、すごい見やすかった。やっぱり、最低限の場所、小規模な人数でワイワイとやってる番組って好きだ。
しかし、私のような主体性のない人間にとっては、AIに席巻されるのもそう悪くないかもしれない。たまに、人間が一切の感情を持たず、各自に課せられた仕事をこなしていくだけの世界というものに魅力を感じたりする。もちろんそんな世界は御免だが、しかし、そうにでもなってしまえと言いたくなるような出来事、感情を捨てたくなってしまうような瞬間が人生には多い。何よりも自らの感情に苦しめられている。感情のオン・オフのスイッチでもあってくれたら……いやいや、もうAI関係ないし、やたら暗い話になってるし…ちゃんと番組を紹介しなきゃいけないのに、どうしよう……
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)