【漫画】凶悪な巨大猫かと思いきや…母を失った男子高校生が優しい猫と出会う漫画に「感情移入して泣いてしまった…」の声

2023/05/24 10:00 配信

芸能一般 インタビュー

男子高校生と巨大猫の絆を描いた『母を失った男子高校生と子供を失った巨大猫の話』が泣ける…画像提供/野愛におしさん

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“男子高校生と巨大猫が惹かれ合う様子”を描いた漫画『母を失った男子高校生と子供を失った巨大猫の話』をピックアップ。

作者は、現在「少年ジャンプ+」にて漫画『奴隷の私氏 モフモフ主人が尊くて 今日も無事死亡』の連載を抱える野愛におしさん。2023年5月14日にTwitterで『母を失った男子高校生と子供を失った巨大猫の話』を投稿したところ、1.2万以上の「いいね」が寄せられ多くの反響を呼んでいる。本記事では、野愛におしさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについて語ってもらった。

巨大猫の寂しい表情に隠された真実…

『母を失った男子高校生と子供を失った巨大猫の話』(1/19)画像提供/野愛におしさん


母親の墓参りに来た男子高校生の浅間ノボルは、なぜか巨大猫に追いかけられていた。そして結局捕まってしまったノボルは、大きく口を開ける巨大猫を見て食べられることを覚悟する。しかしノボルの考えとは裏腹に、巨大猫はノボルを抱き寄せて体をペロペロと舐め始めるのだった。

単に巨大猫は“世話をしたかっただけ”だと知ったノボルは「俺はお前の子猫じゃない!離せ!」と言って離れようとしたものの、巨大猫のフワフワの毛並みや優しい包容力につい魅了されてしまう。そして「デッカイ猫のオカンだ!」と夢中になるノボルだったが、“オカン”というワードでふと死んだ母親との思い出が頭をよぎり、自然と涙がこみあげてくる。

母親が死んでからずっと泣くのを我慢していたノボル。しかし優しく体を包み込む巨大猫の包容力によって、ノボルはこれまで溜め込んできた悲しみを全てさらけ出すのだった。

その後思い切り泣いたノボルはふと我に返り、「早く逃げねーと!」と言って再び巨大猫のもとから離れる。逃げている最中に、どこか寂し気な顔をしていた巨大猫のことを思い出すノボル。

すると、偶然目の前に佇む“子猫のお墓”を発見。そこで「アイツも俺と同じだったんだ」「大事なものを失って苦しかったんだ」と巨大猫が子供を失ったことに気づいたノボルは、その後巨大猫の元へ戻るのだった――。

同じような辛い境遇を経験した者同士で、ぽっかりと心に空いた穴を埋め合っていく様子が描かれた本作。Twitter上では「感情移入して泣いてしまった…」というコメントが殺到し、「ノボルと巨大猫の関係は、友情とはまた少し違う、深いところで理解し合える関係な気がする」「母親を失って思い切り涙を流すノボルも、そんな彼を優しく包み込む巨大猫も、全てが尊い…」「家族を失った悲しみが分かるからこそ、お互い惹かれ合ったんだろうね」などのコメントも寄せられていた。

子猫のお墓に添えられている花には“裏設定”があった

『母を失った男子高校生と子供を失った巨大猫の話』(15/19)画像提供/野愛におしさん


――『母を失った男子高校生と子供を失った巨大猫の話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

私は母ととても仲が良いのですが、その母へ対しての日頃の気持ちや、お礼を込めた作品を作りたくて執筆致しました。“巨大猫が世話焼き”という設定も、私の母からとっております。

――本作では、“母親のことを思い出して泣く男子高校生に、優しく寄り添う巨大猫のシーン”が印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。

主人公に感情移入できるよう、コマ割りや表情、セリフにこだわりました。印象付けたい部分やコマの形状による読み手側の時間経過等を配慮して描いております。また、ミスリードが好きなので、冒頭ではネコのパーツをリアルに描き、凶悪そうに見せたところで“実はやさしくてかわいい”というギャップも盛り込んでおります。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

お墓に花が添えられているシーンがあるのですが、あれは“お墓参りに来た人間を見ていた巨大猫が人間のマネをして花を添えてみたが、摘むことができずに根っこごと引っこ抜いて墓の前に置いた”という事になっております。細かい部分ですが、猫の賢い部分を出した、お気に入りのシーンです。

――普段作品のネタ(ストーリー)はどのようなところから着想を得ているのでしょうか?

日頃から「あれがもしああだったら…」など、意外な組み合わせを探していて、面白い組み合わせができたら一度ざっくりとメモ帳などにお話を作って、上手くまとまったらネームを作って…という感じで進めております。人に見せられないような組み合わせも多数存在します。

――野愛におしさんの作品は、人間だけでなく動物の表情も非常に豊かで、セリフがなくてもそのキャラの心情などが伝わってくるように感じます。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?

動物の表情は特にこだわっておりまして、実際に猫が悲しい時の表情(ひげが下がる等)を反映させたりしております。ですが、それは猫好きにしか伝わらない可能性があるので、だれが見ても悲しいという表情がきちんと伝わるように、表情はある程度崩して、きちんと伝わるように目を細めたり、耳を下げたりしております。

――今後の展望や目標をお教えください。

画力をもっと上げて、伝えたいことがもっと伝わるように漫画力を上げたいと思っております。いまよりもっと沢山のことを伝えることができたら、描くのもさらに楽しくなりますし、より多くの方に漫画を読んで、楽しんでもらえると思っておりますので、さらなる技術の向上を目指して頑張ります。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

これからも楽しんでもらえるような作品を沢山描いていきますので、どうぞ応援の程よろしくお願いいたします!