東京生まれ、東京育ちの僕にとって、ないものねだりなのかもしれませんが、自然広がる田舎町は憧れの要素がたくさん詰まった場所です。もちろん田舎には田舎ならではの大変なことがあるのもわかってはいるのですが、緑がいっぱいで、のほほんとした空気が漂う光景はたまらなく好きですね。
クランクイン後、早めにキャラクターや撮影リズム、共演者との波長をつかむことができると気が楽になるものですが、今回は驚くほどクランクイン感がなく、最初からリラックスして撮影に入ることができました。
この「ハヤブサ消防団」は、夏ドラマらしい作品。日本の原風景ともいうべき、夏の山里の映像には懐かしさを感じてもらえると思いますし、そこに不穏なミステリーが絡んでいくので、必ずやみなさんに楽しんでいただけるものになると確信しています。暑い中での撮影になりますが、頑張ります!
三馬太郎(中村倫也)は、崖っぷちのミステリー作家。5年前に“明智小五郎賞”を受賞し、勤めていた会社を辞めて作家業に専念したのはよかったが、その後は新作を出すたびに初版の部数を削られ、ネットの評価も散々。自信を失い、筆の進まない日々が続いていた。
そんなある日、太郎は山間の集落・ハヤブサ地区を訪れる。亡き父から相続し放置したままになっていた一軒家の様子を確認するためだったが、太郎はハヤブサの豊かな自然に心をつかまれ、この地に移住することを決意する。新生活を始めて間もなく、太郎は地域の飲み会に参加。そこで知り合った男たちに消防団への入団を勧められる。運動部に入ったこともなく非力な太郎は、自分にはまったく似合わないからと、いったんは入団を断る。
ところが直後、ハヤブサ地区の一軒で火災が発生。消防団の必死の鎮火活動を目の当たりにした太郎は、自分も新たな居場所であるハヤブサを守りたいという思いに駆られ、消防団への参加を決意。だが、団員たちによるとハヤブサ地区では今年に入って不審火が続いており、今回の火災で3件目。メンバーは、連続放火事件を疑っているという。こののどかなハヤブサ地区のどこかに放火犯がいるのかと、ゾッとする太郎だがその矢先、住民のひとりが行方不明になるという事態が起きる。