本宮泰風、伊藤健太郎は「生意気なガキ」で「すごく真摯に仕事に向き合う役者」 任侠の世界借り普遍的な人間ドラマ描く<静かなるドン>

伊藤健太郎は「必ず相手の芝居を受けて自分の芝居をする」

伊藤健太郎撮影=友野雄


──では、お二人がお芝居する上で大切にしていることはありますか?

本宮 ないです。一生懸命やるだけ。

──伊藤さんはどうでしょうか?

本宮 聞かせてくれよ!(笑)

伊藤 えぇ!? そんな大層なこと言えないですよ。うーん、なんだろう……。

本宮 じゃあ俺が代わりに。芝居って、一人でやるときもありますけど、基本は相手があって成り立つものじゃないですか。健太郎は、相手の芝居をすごく受け入れているなと思いますね。僕は自分のやりたい芝居があったら、相手がどうであれゴリ押しすることが多いんですが、彼は必ず相手の芝居を受けて自分の芝居をするんですよ。たぶん無意識だと思うんですけど。でもそれはすごく大事なことだなって、今回の現場で彼から学びました。

伊藤 ありがとうございます。自分では無意識なのでわからないんですけど、そういうふうに見ていただけているのであれば、また同じ質問をされたらそう言うようにします。

本宮 監督の言ったことの飲み込みも抜群にいいし、勘もいい。監督の言っていることが伝わらなくて何回も同じシーンを繰り返すという場面は、撮影ではよくあることなんですけど、健太郎の場合はいつも一回で終わる。すごいなと思いました。僕はちょっとイラついた雰囲気とか出してごまかしちゃうんで(笑)。

本宮泰風撮影=友野雄

──では最後に、改めて「静かなるドン」の見どころを教えてください。

本宮 「静かなるドン」は、僕らの世代はほとんどが知っている作品。名前だけじゃなくて、ドラマを見ていたり、漫画を読んでいたりして、内容も知っている人も多いと思います。でも長い間、記憶の片隅に追いやられていたと思うので、令和になってまたブラッシュアップされたこの作品を、ひさしぶりに楽しんでいただればと思います。

伊藤 逆に僕らの世代は知らない、もしくは聞いたことあるけど触れたことはないという人が多いと思います。そういう人でも、また普段はあまりヤクザものに触れない女性の方にも受け取ってもらいやすい内容になっていると思うので、年齢、性別問わず、全世代の方に楽しんでいただけたらうれしいです。

伊藤健太郎(右)と本宮泰風(左)撮影=友野雄

■取材・文/小林千絵
撮影/友野雄

伊藤ヘアメイク/竹島健二
伊藤スタイリスト/前田勇弥
衣装/レザージャケット: The Letters(レターズ)
その他スタイリスト私物

本宮ヘアメイク/坂口佳那恵
本宮スタイリスト/荒川小百合