山谷花純、朝ドラオーディションを受け続けた10年は「そこで自分がどう過ごすかを大切にした」

山谷花純※ザテレビジョン撮影

自然と生まれた会話劇のテンポ感


――いろいろな思いを抱えて収録に臨んだと思いますが、撮影現場はいかがでしたか?

いつも通りでした。すでにクランクインして出来上がっているチームの中に「はじめまして」ってあいさつして入っていく形だったので、リハーサルのときはすごく緊張はしましたが。ただ、私の演じる宇佐美ゆうが住んでいる長屋メンバーたちとも同じタイミングで撮影のスタートを切ったので、心強い仲間たちと作品をどうやって盛り上げていくのかっていう楽しみの方が強かったです。

――宇佐美ゆうは万太郎の下宿先である十徳長屋で共同生活を送りますが、個性豊かな住人たちとの会話劇が面白いと好評です。

15分という短い尺(放送時間)の中で、たくさんの人たちが一気に出てくるので、テンポがいいですよね。そういうふうにしようって会話をしたわけではなく、台本を読んでみると絶対に間を詰めた方が面白いだろうなとみんな思ったのだと思います。ポンポンポンポン流れるように会話劇が進んでいくっていうのは、自然と最初から出来上がっていました。

らんまん」という作品はワンシーンが長く、台本のページ数も多い、10分間くらい長回しするのが普通なんです。でも、十徳長屋の人たちは偶然なのか、舞台経験者がすごく多いんですよ。舞台も始まったら止まれないので、みんな協力して「このシーンを最後まで駆け抜けよう!」って気持ちなんじゃないかなって。

それがストーリーにもいい影響を与えていると思いますし、血はつながってないご近所さん同士の関係かもしれないけど、長屋メンバーの役者さんたちとはどこか家族のような信頼関係で補い合えているのがいいなって思います。

山谷花純※ザテレビジョン撮影


子役を中心に将棋やカードゲーム


――及川福治を演じる池田鉄洋さんや堀井丈之助役の山脇辰哉さんなど、皆さん年齢はバラバラだと思いますが仲も良さそうですね。

話題が絶えないです、下は5歳の子(渋谷そらじ)がいますからね。子役の方を中心とした過ごし方が多くて、先輩方が将棋を子役に教えていたりします(笑)。カードゲームもはやっていて、江口りん役の安藤玉恵さんが小さい子たちの中で大ブームの「ナンジャモンジャ」っていうカードを持ってきてくれて、それをスタジオの前室で子どもと大人が本気で勝負するっていう(笑)。

なので、お芝居の話を具体的にはしていないんです。明治時代が舞台で、お着物を着て下駄を履いてお芝居をするので、衣装に着替えた瞬間から気持ちもタイムスリップしている感覚。自然とその時代の人になっているので、みんなうまく切り替えて役の姿になり切れているんだと思います。

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