山谷花純、朝ドラオーディションを受け続けた10年は「そこで自分がどう過ごすかを大切にした」

山谷花純※ザテレビジョン撮影

大河ドラマデビュー作「鎌倉殿の13人」を振り返る


――山谷さんにとって大河ドラマデビューとなった「鎌倉殿の13人」のお話についても聞かせてください。「らんまん」出演時には、視聴者から「『鎌倉殿の13人』のせつだ~」と反響があったそうですね。

初回放送から1年はたっているんですよ。作品がものすごく愛されていたというのもあるんですけど、これだけ時間がたっても役名で呼んでもらえるんだなって。私の名前よりも役名を覚えてもらえる方がうれしくて、物語が終わっても皆さんの心の中に役が生き続けているのは光栄です。思い出ボックスの中に入れていた、一生忘れない役をもう一度思い返すことができて励みになりました。

だからこそ、「らんまん」の次に新しい作品に出演させてもらったときに「おゆうさんだ!」って言ってもらえるように頑張りたいですし、私のお芝居を見たときにいろいろな役名が出たら一番うれしいです。

――俳優・山谷花純にとって「鎌倉殿の13人」はどんな作品になりましたか?

大河ドラマに出演するのも初めてだったというのもありますし、新しい世界ですかね。10年以上この仕事を続けていても「まだ知らないことがこんなにたくさんあるんだ」「こんなに緊張することがあるんだ」、すごく初心に戻らせてもらった作品だったんです。ものづくりに対して役者だけではなく、各部署の方々が作品を面白くしたいという、言葉なき思いが伝わる座組がすごくすてきでした。

ただ、そこにいるだけで気持ちを感じることができる作品だったからこそ、そこに置いていかれないように私自身も頑張っていました。波に乗っていかないと自分も寂しいですし(笑)。撮影現場に行くときは毎日「あれできるかな、これできるかな」っていろいろ引き出しをひっくり返して準備したのが楽しかったなって。あのときの高揚感や緊張感は忘れないようにしないと、って今も心掛けてはいます。

山谷花純※ザテレビジョン撮影


心のゆとりを保つ方法は「この時代に存在しないものを見ること」


――多くの作品に出演されて忙しいとは思いますが、以前インスタグラムで植物の写真と共に「心のゆとりは、人を豊かにすると思うのです」と投稿されていました。忙しい中でも心にゆとりを持つ方法を教えてください。

職業柄、映画を見ても本を読んでも、テレビをつけても音楽を聴いても、全部仕事につながってしまうんです。私が好きで始めたことですし、すごく幸せなことなんですけど、一度スイッチが入っちゃうと仕事をしないといけないって気持ちになっちゃうんです。なので、何が一番、心が安らぐかなと思ったら、植物とか化石とかを博物館に行って見ることだって気付きました。

――「らんまん」も植物学者の話なので通ずるところがありますね。なぜリラックスできるのでしょうか?

私、もともと恐竜が大好きなので、この間「恐竜博2023」という展示会に足を運んでみたんです。この時代に存在しないものを見たときに「自分はなんて小さい人間なんだ…」って思っちゃいました(笑)。

人それぞれだとは思うんですけど、自分が触れることも目にすることもできない何かを想像する時間ってものすごく豊かですよね。今の時代にないものを自分の目で見て体験するのは、しがらみとかそういうものを清められる時間だと思うので、良かったら皆さんもぜひ!

――最後に「らんまん」視聴者へのコメントをお願いします。

お忙しい時間だと思うんですけど、朝の8時からドラマを見ていただけるのは役者にとってもうれしいです。

主人公の万太郎は「いってらっしゃい」って言葉を掛けられることが多いんですけど、主人公が新しい一歩を踏み出すのと同じように、朝仕事に向かうときや学校に行くとき、幼稚園に送り迎えをする方々に向けての「いってらっしゃい」でもあるのかなって。

皆さんの新しい一日の後押しになる「いってらっしゃい」という作品になれたらと思っているので、今後もよろしくお願いします。

◆スタイリスト:高橋美咲、ヘアメーク:永田紫織

山谷花純※ザテレビジョン撮影

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