極秘任務でしょっちゅう呼び出されるドフンだが、スパイだということは家族にもナイショ。結果、家族イベントをすっぽかしてばかりの“ダメ夫”“ダメパパ”“ダメ息子”の烙印を押されている。家族にも正体を隠すドフンの、そんな一人ドタバタぶりがまず楽しい。
第1話では、カッコいいアクションで国際指名手配犯を捕まえた直後、妻・ユラとの結婚10周年旅行をすっぽかしてしまったことを思い出し大慌て。大きな花束を抱えてユラを空港に迎えに行くものの、到着したユラに冷たくあしらわれてしょんぼり…そんな“お約束”のダメ夫ぶりがテンポよく、コミカルに描かれる。走行中の車にしがみつく吹き替えなしのカーアクションも、スパイシーンではなくお怒りのユラに対して使われるのが「シークレット・ファミリー」ならではだ。
一方のユラは、そんなダメ夫を我慢強くフォローする良き妻・良き母。舅にあたるドフンの父・ウンス(イ・スンジェ)を本当の父のように愛し敬い、まだまだ幼さが抜けない義弟ジフン(キム・ガンミン)や、その妻でちゃっかり者のミリム(ユン・サンジョン)のためにあれこれ親身に気を配る。その温かい人柄は癒やされオーラ満点。ユラにとっては、ドフンたちクォン一家こそが本当の“家族”なのだ。
そんなユラにとって、何のつもりかクォン一家を懐柔しようとプレゼント攻撃を仕掛けてくる謎の美人上司・オ部長はまさに“天敵”。大切な家族をモノで釣られてはたまらない、とユラはオ部長との対決に挑む。だが、オ部長もまた、彼女なりに守りたいものや孤独を抱えている――。
誰もが必死に生きている。それがたとえ平凡な日常でも、死と隣り合わせのスパイの最前線でも…。ドフンとユラをはじめ、個性的な登場人物たちがしたたかに生きようと奮闘する姿は、面白おかしくもいじらしい。
重厚感を備えたアクションサスペンスでありながら、それ以上に、時にほろりとさせられるホームコメディーでもある「シークレット・ファミリー」を見た後は、不思議と元気が湧いてくる。ハードなサスペンスもいいけれど心が潤うストーリーも楽しみたい…疲れた現代人の心を癒やすのは、そんな作品なのかもしれない。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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