【漫画】武士の優しさと犬の表情に思わずほっこり…凸凹コンビで買い物をする話に「癒された」の声

2023/06/13 10:00 配信

芸能一般 インタビュー

犬に対する武士の愛情が描かれた『殿と市』にほっこり…(C)西田理英/COMICポラリス

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、昔の時代を舞台に“コーギーと武士が買い物へ行く話”を描いた漫画『殿と市』をピックアップ。

本作は「COMICポラリス」にて連載中の漫画『殿と犬』から抜粋されたストーリーで、作者は漫画家の西田理英さん。2023月5月15日に本作をTwitterに投稿したところ、2.1万件の「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では西田理英さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

ついつい犬を甘やかしてしまう優しい殿

『殿と市』(7/16)(C)西田理英/COMICポラリス


本作ではコワモテな武士の「殿」が、家臣の「犬」(コーギー)とともに市へ訪れる。自分の住む城に必要な物を買いにきた殿は「市とは多くの物が並ぶからな 浮足立って無駄銭を使わぬようにするものだぞ 犬よ」と話しかけるが、犬を見ると“ひしゃく”咥えており、さっそく購入。「いきなり無駄銭を使ってしまった…」と後悔するのだった。

その後、市の商人に“蓑と笠”をすすめられ、雨具は必要だと考えた殿は興味を示す。犬にも合う物はないか尋ねて着させたところ、だいぶ“もさっ”としてしまい、それを見た殿は「お前にはちと大層かな」と必死に笑いを堪える。

そこで商人が代わりに取り出した“童用に作った背負子(しょいこ)”を着用させてみたところ、サイズ的にジャストフィット。さっそく背負子に炭を載せて「すごいぞ 犬」「いよっ 力持ち!」などと犬を褒めると、犬も自慢げな表情に。しかし、炭よりも断然大きくて重い荷物を運ぶ牛が目の前を通り過ぎたことで、犬は敗北感からか落ち込んでしまう。そんな犬を見かねた殿は「体の大きさが違うから!」と優しくフォローし、背負子と炭を買ってあげるのだった。

その後も塩や油を買い、だいぶ金を使ってしまった殿。「全部使わぬようにせねば…」と考えていると、そうこうしているうちに犬がどこかへ消えてしまっていた。あたりを探し回り、ようやく犬を見つけた殿は「行くぞ 犬」と言うのだが、犬は饅頭を食べたそうにじーっと見つめたままその場から離れようとしない。

殿は「いかん! もう余計な物は買わぬぞ!」「そもそも家臣でありながら 饅頭で一服とは贅沢!さぁ行くぞ…」などと諭すものの、突然犬はその場に伏せて“食べさせてもらうまで動かない”という意思表示をする。

強引に動かそうとする殿だったが、犬はビクともせず、最終的に犬の「動く気のない凄まじい圧」に圧倒されて饅頭を買ってあげることに。そして殿は、犬が嬉しそうに饅頭を食べる様子を見て「まあせっかくの市だし…な」と心の中で呟くのだった――。

殿と犬の軽快なやり取りや、犬の愛くるしい表情や動きなど、見どころ満載の本作。ネット上では「ワンちゃんの表情や動きが可愛すぎて癒された!」「要所要所で殿の“犬に対する愛情”が伝わってきてほっこりする」「可愛さと優しさがふんだんに詰め込まれた最高傑作!」など称賛コメントが寄せられている。

西田理英さんのお気に入りは「犬が饅頭を食べたくてその場から動かなくなるシーン」

『殿と市』(13/16)(C)西田理英/COMICポラリス


――『殿と市』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

これまで長屋の中だけの話が多かったので、他にもたくさんの人が住んで交流しているという風景を描きたかったからです。

――本作では、犬の可愛らしいシーンや、武士の優しさが垣間見えるシーンが印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。

今回のお話は市の賑わいや、ごちゃごちゃした埃っぽさを出せるように背景を描きこみましたので、その雰囲気を感じていただけたらと思います。

全話を通しては、犬(うちの愛犬がモデル)のモフっとした感じや動きに違和感がないように気をつけています。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

犬が饅頭を食べたくてその場から動かなくなるシーンが気に入っています。いわゆる「コギスト(コーギーストライキの略)」のようなテコでも動かない状況で、ほぼうちの愛犬の事を描いているので、愛着のあるシーンです。

――普段作品のネタ(ストーリー)はどのようなところから着想を得ているのでしょうか?

担当さんとの打ち合わせで、何気ない話の中からネタができる事が多いです。私が「うちの犬こんな事したんですよ~」と話したら「それ面白い!取り入れよう!」と言われて話ができたりします。

――西田理英さんの作品はとてもハートフルで、読んでいると犬と人間の絆のようなものを感じます。また犬にはセリフがありませんが、ちょっとした仕草や表情だけでその時の感情がとても伝わってきました。普段作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?

ありがとうございます!言葉を話さない分、犬の表情や動きにはこだわっています。あとは“大柄な殿”と“体高の低い短足の犬”をうまく同じコマに収められるように、立ち位置など意識しています。

――今後の展望や目標をお教えください。

既刊2巻なのでとりあえず次の3巻を出す事が目標です。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

いつも「殿と犬」を読んでくださってありがとうございます!SNSやアンケート、お手紙でも感想をいただき、励みになっています。これからも殿と犬の主従のんびり長屋生活の応援よろしくお願いします。