コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“面倒くさい風呂に入るために妄想をするOL”を描いた漫画『疲れてるから風呂に入りたいけど疲れてるから風呂に入りたくない話』をピックアップ。
作者である漫画家のながつきまさ美さんが、2023月5月26日に本作をTwitterに投稿したところ、3万件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事ではながつきまさ美さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
仕事を終え、ヘトヘトの状態で帰宅した主人公のOL。玄関に倒れ込み「もうだめ もう一歩も動きたくない でもせめてお風呂だけでも入んなきゃ」と考えるものの、「いや~~~~~~もう今日は無理~~」「誰か私をお風呂連れてって洗って~~~お母さ~~~ん」と発狂する。
そこで主人公は面倒なお風呂へ入るためのアイデアとして、突然「そうだ 異世界転生しよう」と思い立つ。“異世界転生して赤ちゃんになり、ママにお風呂に入れてもらう”という妄想で、なんとか乗り切ろうとするのだった――。
さっそく頭の中で異世界を想像し、赤ちゃんとして転生した主人公。若くて可愛らしいママに抱きかかえられたままお風呂に入れてもらい、「ああ~~~~~~~~」と心の中で叫びながら最高の気分を味わう。
しかし突然、背中がかゆくなる事態が発生。なんとかママに伝えようとするも、赤ちゃんなので「おぎゃ~~!」と泣くことしかできず、ママもどうして泣いているのかわからずに「ごめんね…」と困惑してしまう。
それを見て「ママかわいそう!!!!きっと私より若いのに!」と感じた主人公は、「ママは私が助ける!」と言って現実世界でも自分で服を脱ぎ始める。
そして“頭の中のママ”に「待っててママ 私本当は大人だから…!」「見ててねママ 一人でお風呂入れるからね」などと話しかけながら、自分の力で入浴。こうして妄想と現実世界をリンクさせることで、面倒に感じていたことを無事に成し遂げるのだった――。
読んでいて、思わず明るい気持ちになれる本作。ネット上では「異世界転生の使い方が斬新で面白い!今度からマネします(笑)」「元気が出るお話で大好き!」など称賛の声が上がっており、他にも「仕事後のお風呂が面倒なのめっちゃわかる!」「風呂入るまでが面倒臭いのはあるあるだよね(笑)」など共感コメントが多数寄せられていた。
――『疲れてるから風呂に入りたいけど疲れてるから風呂に入りたくない話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
私自身お風呂に入る事そのものは好きなのに、疲れていると「めんどくさくて入りたくない…」「入ったら気持ち良いということまでわかっているのに…」ということがよくあります。
しかし、毎日普通にお風呂に入る当時の同居人にその話をしたら、理解を得られなかったことがあり、「そんなこと…ないだろ…!?」という気持ちがあったため創作しました。
その気持ちを実際に形にするきっかけは、去年やっていた漫画連載が終わる頃、「東京ネームタンク」という漫画を描きたい人の手助けをしてくださる場所があって、その中の一つ「1DAYネーム講座」を受講させていただいたのですが、その際にちょうどこの題材が使えそうだったからです。
Twitterはこういうちょっとした「人に言うのはちょっと恥ずかしいけどあるよね」に共感して、クスっとするのにいい場所だと思ったので、投稿させていただきました。おかげでたくさん共感の声を寄せていただきました。
――本作では、主人公の頭の中の妄想と現実とのギャップがとても面白くて印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
主人公を“普段はきちんとしてそうな大人の女の人”に、異世界のママは“抱っこされてみたくなるような、ちょっとふくよかなくらいの可愛らしい印象”にしたかったので、そう見えていると嬉しいです。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
8ページ目の「きっと私より若いのに!」というセリフです。最後はママにすべて解決してもらうのではなく、自分の力でお風呂に入るオチにしたかったので。
基本的にはしっかり大人をやれている人が、今日はたまたまダメな日に、それでも自分を鼓舞して奮起できる理由が他に思いつきませんでした。あと自力で解決はするけども、「人生なんて誰も助けてくれないし、独りで頑張って辛い…」といった感じにはしたくなかったので、こういう形になりました。
――普段作品のネタ(ストーリー)はどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
お風呂に入ってる時が多いです(笑)。なんとなく最初からシーンとして浮かびます。それをスマホにメモっておいて、そのポエムみたいな状態のメモを何回か頭で反芻しながら、ストーリーとして形を整えてく感じです。
大体シーン先行のふわっとした思いつきなので、短くて連載にしようとするには企画として弱い形になってしまうのですが、それでも最初にやりたかったことだけは変えないようにしています。私の場合、ここをいじろうとすると形にもできないことが多いです。
――ながつきまさ美さんの作品は、コマ割や擬音、キャラの表情やセリフなど細部までこだわっていて、非常に読みやすく感じました。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
なるべくスラスラ読めることです!読みやすさを褒めていただくことが多いので。本当はそこは漫画としてスタートラインだと思うのですが、とにかくそれだけは失くさないようにしています。
――今後の展望や目標をお教えください。
私はまだオリジナルのお話を作り慣れていなくて、仕事として担当さんと協力しながら作っていけるほどの力が無いため、趣味として少しずつ数をこなしていけたらなと思っています。漫画家としてはコミカライズも大好きな仕事なので、そちらも頑張りたいです!
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
今回はたくさんの方に漫画を読んでいただき、ありがとうございます。去年までコミカライズを連載していた漫画『努力しすぎた世界最強の武闘家は、魔法世界を余裕で生き抜く。』は、担当さんから「ながつきさんの作風に合っていると思います」と紹介していただいた原作なのですが、コメディとして気軽に読める痛快な異世界転生ものなので、今回の漫画が面白かった方にはおすすめできるんじゃないかなと思います。
仕事に関係ない趣味の漫画もたまに描いていく予定なので、お見掛けの際はまた読んでいただけましたら嬉しいです。
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