2009年はゾーイにとって大きな年になった。「スター・トレック」が5月に公開され、「アバター」が12月に公開。「スター・トレック」は1960年代に始まった人気シリーズで、この2009年版は、オリジナルテレビシリーズ「宇宙大作戦」の主要キャラを新しいキャストで描いたリブート映画シリーズの1作目。「第82回アカデミー賞」で4部門にノミネートされて“メイクアップ賞”を受賞。長い「スター・トレック」シリーズの中で初めてのアカデミー賞受賞となった。
ゾーイが演じたのは宇宙艦隊候補生の“ウフーラ”。主人公のカーク(クリス・パイン)に言い寄られるが、彼女はバルカン人と地球人のハーフ・スポック(ザカリー・クイント)に思いを寄せている。相手を思いやる気持ちの強さと“優しさ”があったからこそ、スポックもウフーラに心を開けたのだろう。
その後、2013年の「スター・トレック イントゥ・ダークネス」、2016年の「スター・トレック BEYOND」とシリーズは続いていき、ゾーイも継続して出演。「アバター」については冒頭で触れた通り、ゾーイが演じるネイティリが2022年の「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」も含めて、キーパーソンの一人となっている。
もう一つ重要な役柄はガモーラ。2014年に公開された「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」に登場したキャラクターで、緑色の肌と、黒と赤紫色のロングヘアが特徴だ。銀河最大の支配者“サノス”に養女として育てられてきたので、戦闘能力が非常に高い。
続編の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」(2017年)の他、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018年)、「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)、公開中の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」と、各作品で活躍。「アバター」のネイティリもそうだが、ガモーラのように戦う強い女性役もゾーイにうまくハマることが多い。
もう一つ、個人的にも好きな作品ということで、シリーズものではないが2022年公開の「アムステルダム」もオススメしたい。1930年代のニューヨークが舞台で、かつて第一次世界大戦の戦地で出会い、終戦後はアムステルダムで“何があってもお互いを守り合う”と誓った親友3人、医師バート(クリスチャン・ベール)、弁護士ハロルド(ジョン・デヴィッド・ワシントン)、看護師ヴァレリー(マーゴット・ロビー)の物語。ニューヨークで生活を送るが、殺人事件に巻き込まれて容疑者になり、巨大な陰謀に巻き込まれていく。
ゾーイはバードと共に検死を行う優秀な看護師で、3人の容疑を晴らすために必要な検死報告書を持っている重要人物。事件解決のために献身的なサポートをしている。他に、ラミ・マレック、ロバート・デ・ニーロら豪華キャストが集結。あり得ない奇想天外な話のように思われるが、“ほぼ実話”らしい。
オススメ作品を挙げていたら止められずに多くなってしまったが、世界歴代興行収入の上位3作品(第1位「アバター」、第2位「アベンジャーズ/エンドゲーム」、第3位「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」)に出演していることを考えれば、多くなるのも必然か。
ゾーイの45歳の誕生日をきっかけに、ダンスや音楽をテーマにした作品、コメディー要素の多い作品、人気シリーズなど、幅広いジャンルの作品で見せてくれる多彩な演技を改めて楽しんでもらいたい。
映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」は、ディズニープラスで配信中。
◆文=田中隆信
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