島は、今日ここに来る事をどう思ったのかを2人に尋ねた。「会話を途切れさせたくないけど、ヘンな話して“面白くねぇな”と思われたくないし…。ホントは、ちょっとずつ仕事して“まぁまぁ面白いヤツだな”って思われてから来たかったな」と若林。果てしなくメンドくさい…。
一方、山里は「もしホメてきたら、オレを調子に乗せて、“面白くなかった”って悪評を広める為にやってんだな、って。そのテには乗らねぇからな、って。あと、イジってきたら、同期とは言えこっちの方が先にTVに出てんだからな、っていうメンタルで…」と、ひねくれすぎにも程がある。そして、お互いの言い分を聞いた2人は「似てるとしたら…サイテーじゃねぇか」と思うのだった。
改めて打ち合わせの日、最初こそぎこちなかったが、お互いにどんどんアイデアが溢れてきて、会話が止まらなかった。その時、山里は「相方が案を出してくれるって、こんなにネタ作りが楽しいんだ!ネタを考えてくれるって、こんなにラクなんだ」と内心、感動していた。そして、若林は「相方が台本のベースを書いてくれる…そんなことあっていいのか!?ありがたすぎる!!」と嬉しさで爆発しそうだった。これまで相方を生かす事を第一にネタを作ってきた2人にとって、新たな相方との作業は嬉しい衝撃の連続だった。
こんなに盛り上がっても、いっさい目を合わせない山里と若林…。「たりないふたり」の前半は、それを生かして、一言も喋らずに観客の方を向いたままパソコンのチャットで会話する事にした。静まり返った会場でパソコンのキーを叩く音だけが響く中、観客はモニターに映る2人の「会話」を読んで笑う。そして後半は、このチャットの内容をフリにした漫才だ。初期の頃は台本があったが、最終的には本番一発の、「漫才」を超えた魂のぶつかり合いが繰り広げられていくことになる。
若林は初回の「たりないふたり」を終えた夜、ノートの「売れて良かったこと」のところに「すごい人と漫才ができて、たまに幸せ」と書いた。一方、山里も翌朝の「スッキリ」の“天の声”で「おーはよーございまーす!」と、スッキリ高らかに叫ぶのだった。
「たりないふたり」のオープニングで流れる、銀杏BOYZの「BABY BABY」が、このドラマでの再現バージョンでも同じく使われていた事に、「ヤバい、懐かしくて泣けてきた」「グッときた」と胸熱になった当時の視聴者が多かったようだ。ついに始まった「“たりふた”期」。だが、解散までドラマはあと2回を残すのみとなった…。
◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョンドラマ部
※高橋海人の「高」は、正しくは「はしご高」
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