コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、それぞれに悩みを抱える少女たちの物語を描く『致死量のブルー』をピックアップ。
作者であるHEROさんが5月13日に前編と後編をあわせてTwitterに投稿したところ、9.3万以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では、HEROさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについてを語ってもらった。
海の近くの学校に通う、友人同士のカナと瞳。放課後のボランティア清掃に参加した2人は、砂浜に捨てられた缶を見つける。瞳はそれを拾い上げると、そのまま手の中で消してしまう。クラスメイトたちは“手品”と言うも、物を消したあと瞳が見せる悲しい目を見て、カナだけは瞳のことを“魔法つかい”だと思っていた。
ある日の放課後、瞳の家に招かれるカナ。玄関に飾られた瞳抜きの家族写真を見たカナは、病弱な瞳が健康な妹と比べられ、母からいつも傷つくような言葉をかけられていることを瞳から聞く。家族がいない間に手作りの夕食を振る舞われ、ベッドの上で話しているうちにいつの間にか眠りにつく2人。翌朝、瞳の母親に気づかれたカナは家を追い出されてしまう。
授業中、手紙のやりとりで仲直りしたカナと瞳は、先日のボランティア清掃のときにクラスメイトが定期を無くしたことを知り再び浜辺を訪れる。砂浜をくまなく探しながら「…瞳はなにか本当に消したいものがあるの?」と問いかけるカナ。すると、瞳は「あるよ」と答えて…。
それぞれに悩みを抱える少女たちの切なくもあたたかい友情を描く本作。後編では、瞳の“消したいもの”やカナに秘められた真実も明かされ話題を集めている。Twitter上では「ところどころ冷たくてでも心にじんわりと滲むあたたかい物語」「読んでる間ずっと波の音が聴こえるような気分」「心を揺さぶられる」「漫画だからこそ出せる味わい」など多くのコメントが寄せられ、反響を呼んでいる。
――『致死量のブルー』を創作したきっかけや理由があれば教えてください。
海の近くにある古い学校を題材にして、読み切りを描きたいと思っていました。
――カナと瞳、それぞれのキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか?
いらない物はなんでも消してしまえる寂しい魔法つかいの瞳をまず考えました。そして瞳に寄り添う形で友達(カナ)がいたらいいなと。話を考えている内に、カナが主人公になりました。
――本作をTwitterに投稿後、9.3万を超える「いいね」が寄せられ話題を集めています。今回の反響についてHEROさんの率直なご感想をお聞かせください。
「致死量のブルー」はもともとろくに下書きもせず勢いだけで仕上げた2018年の個人web漫画です。それを今の自分なりにわかりやすく描き直しTwitterに投稿しました。その結果、想像以上にたくさんの方に読んで頂けてとても驚いています。
「あの作品のリメイクだ」とすぐに気づいてくださった方が多かったのも嬉しかったです。
――静けさの中に浮かび上がるあたたかい友情が印象的な本作ですが、HEROさんが本作を描くうえでこだわった点や「ここを見てほしい」というポイントがあれば教えてください。
2人だけの世界を大事に描きました。カナの前では少し穏やかになる瞳の表情などを感じ取って頂けると幸いです。
――本作の中で特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?
後半、瞳がカナの本当の名前を口に出すところです。瞳が選んだ最後の言葉は、消してしまいたいものではなく大事なものにしたかったからです。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
拙さの目立つ作品ばかりでお恥ずかしい限りですが、読んで下さって本当にありがとうございます。これからも昔を思い出したりそのときに感じたことなどを拾って、漫画という形にしていけたらと思っております。どうぞよろしくお願いします。
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