コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、他人以上友達未満な絶妙な距離感の2人が織りなす柔らかい空気感を描いた漫画『花束も渡していないけれど』をピックアップ。
作者のほしさんが5月11日に本作を自身のTwitterに投稿したところ、現代ならではの人間関係のリアルさが話題を集め、2.7万以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んでいる。この記事ではほしさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについて語ってもらった。
ある日、カフェで働く牧野は、同僚の塩田からもうすぐ店を辞めると打ち明けられる。1年ほど前から一緒に働きインスタのアカウントを交換する程度の間柄だった2人だったが、お互いに入り込み過ぎない距離感を保っていた。
交換したインスタを見る感じ"違う世界の人"だと割り切っていたけれど、店を辞める原因となった旦那の存在すら知らなかったことや、塩田の丁寧な接客がもう見られなくなることに寂しさを感じていたのだった。
家に帰ってからも塩田ことが気になっていた牧野は、つい塩田のツイッターアカウントを探ってしまっていた。するとそこにはインスタから想像していた印象とは違う塩田の姿があったのだ。その後も最後まで入り込み過ぎない関係を続けた2人は…。
特に仲が良いわけではない同僚が店を辞める時のリアルな1コマを切り取って描かれる本作。Twitter上では「淡い関係性が沁みる」「なんともいえないエモさ…」「距離感がリアルすぎる」「すてきな世界観」「言葉にはできない良さがあるな」「この感じめっちゃ分かる」「何度も読み返したい」など読者からのコメントが寄せられ反響を呼んでいる。
――『花束も渡していないけれど』を創作したきっかけや理由についてお聞かせください。
普段自分が感じた思いや、経験した出来事などを形に残したいと思って漫画を描くことが多く、今回は身近に印象的な別れが多くあったことがきっかけでした。
――本作では、同じカフェで働く牧野さんと塩田さんの現代らしい関係性が印象的です。それぞれのキャラクターや設定などはどのようにして生まれたのでしょうか?
牧野はいい意味で何かを参考にしたり意識したりはせずに描いたキャラクターです。一方、塩田は、どこか不思議と惹かれてしまうようなキャラクターを目指しました。服装やカフェの雰囲気、絵柄なども塩田をベースに、全体の設定を作っていきました。
――本作の中でほしさんが特に気に入っているシーンやセリフがあればお聞かせください
ラストシーンの「私の知らないあなた どうぞお元気で」というモノローグです。このモノローグから話の組み立てを始めました。元は少し違う言い回しだったのですが、この言い回しに変えたことによって、作品の柔らかさに繋がったかなと思います。
――ほしさんの作品は女性同士のやりとりだからこそ出せる柔らかく繊細な空気感をうまく画に落とし込んでいるようにお見受けします。作画する際に意識していることや気を付けていることがあればお聞かせください。
絵が上手ではないので、とにかくがむしゃらに描いているとしかいいようがないのですが、困った時は80・90年代の少女漫画を意識することが多いです。学生時代、この年代の作品に強く憧れていたので、そこから作画の雰囲気のベースができたと思っています。
――ほしさんの今後の展望や目標についてお聞かせください。
描いている作品の多くは、同世代であったり、自分や作品内のキャラクターと近い環境にいたりするような方に共感していただくことが多いのですが、全く別の世代や生き方をしてきたような方にも、何か感じてもらえるような漫画が描けたら嬉しいなと思っています。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつもありがとうございます。まだまだ描きたいことがたくさんあるので、これからも読んでいただけたら嬉しいです。
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