森本慎太郎“山里”、ついに富田望生“しずちゃん”に自分から謝る “南キャン”コンビ仲、歴史的な雪どけ<だが、情熱はある>

2023/06/25 06:00 配信

ドラマ レビュー

「しずちゃんさぁ、『M-1』出たい?」


そこで山里は、自身のラジオ番組「不毛な議論」の生放送で彼女に電話をした、「絶対しずちゃんだけは出さない!」と決めていたかせを自ら外したのだった。最初の出会いの思い出を話し、山里は「この子、すごい子だ!組んだら売れると思った」と当時の気持ちを打ち明けた。

そして、彼女も山里の才能に感動したことを話し、続けて「でも、あまりの性格の悪さに、だんだんうっとうしくなって」と本音も漏らした。彼女は、山里が本当に大嫌いになっていた。それでも解散を言い出さなかったのは、自分を一番面白くしてくれるのは山里だったからだ。しずちゃんは、お笑いに関しては山里を全面的に認めていた。

会話が一段落して、山里は尋ねた。「南海キャンディーズとしての2016年の目標は何ですか?」。「『M-1』に出て、漫才ってかっこええな、って思ったんですよ。だから、漫才をやりたいと思います」と答えた彼女に、山里は「こういうところで聞くの、ダサいと思うんだけど」と前置きして、再び尋ねた。「しずちゃんさぁ、『M-1』出たい?」。「うん。出たい」と言った彼女の声を聞いて、山里は意を決したように言った。「出るかぁ、『M-1』!出よう、出ちゃおう!」。7年ぶりの参戦を生放送で表明し、もう後には引けなくなった。

山里、ついに自分から謝る


久々すぎる参戦に、始めは恐怖でなかなかネタができず、1回戦ですでに大緊張。登場のどのタイミングで両手を上げていたのかも思い出せないほどだった。1回戦の後も仕事の合間を縫ってネタを作り、信頼しているスタッフにも見せ、「何で今さらまた出場するんだろう」との陰口に対する怒りをエネルギーに変えて頑張り、準決勝まで勝ち進んだ。だが、決勝には行けず、スケジュールの都合で敗者復活戦には出られなかった。

決勝の夢が断たれた時、山里はしずちゃんに「ごめんね」と自分の力不足を謝った。山里が謝った。それもしずちゃんに。この出来事だけでも、彼の成長とコンビ仲の修復が十分に分かる。そして、彼はしずちゃんと「不毛な議論」で、決勝にかけるはずだった漫才を披露したのだった。ちなみに、その翌年の「M-1」にも出場したが、準決勝で敗退している。

若林からの“ラブレター”


2018年、以前出版したエッセー集「天才になりたい」を大幅改訂、加筆して「天才はあきらめた」として再出版した山里。巻末の解説を若林(高橋海人)に頼んだ。若林は、春日(戸塚純貴)の部屋で見た「M-1グランプリ2004」で初めて山里を知り、彼のツッコミのワードセンスに衝撃を受けたことに始まり、山里を素直に絶賛する文章をつづり、「彼が言われたら一番困る言葉であり、一番言われたい言葉を言おう。『山里亮太』は、天才である」と記した。山里は、この若林からの“ラブレター”に大感激し、今でもたまに読むほどだそうだ。

解説文は「ダメだ。たりないふたりの漫才がやりた過ぎる」と締めくくられ、その一文を見ながら山里も「やりたいなぁ、若ちゃんと。漫才…」と、心の底からつぶやくのだった。

◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョンドラマ部

※高橋海人の「高」は、正しくは「はしご高」

「たりないふたり」に感動して、無断で同名のHIPHOPソングを発表したクリー・ピーナッツ(C)日テレ