2013年の初演から根強い人気を誇る舞台『大正浪漫探偵譚』シリーズの最新作『大正浪漫探偵譚 -エデンの歌姫-』が、7月5日(水)より東京・草月ホールにて開幕する。大正時代に生きた“和製シャーロック・ホームズ”となる主人公・東堂解がさまざまな難事件に挑んでいく本作。そんな東堂解を演じる竹中凌平に本作にかける想い、そして自身のキャリアについても語ってもらった。
――舞台『大正浪漫探偵譚』はこれまでに何作も上演されている人気シリーズ作品。竹中さんは2018年に上演された舞台『大正浪漫探偵譚 -六つのマリア像-』にもご出演されていますが、本作では主演の東堂解役に抜擢されました。
竹中:『大正浪漫探偵譚 -六つのマリア像-』のときに主役の東堂解を演じていたのは山本芳樹さんでした。芳樹さんはとてもすごい方なんですが、それでも東堂という役を演じるのはとても大変そうだったんです。だから、最初に「東堂をやってほしい」と言われたときは、正直やりたくないなと思っていて。この役がどれくらい大変なものになるのかがわかっていたので、実は2回ぐらいオファーを断っていたんです。
――どのような大変さなのでしょう?
竹中:一番は台詞量ですかね。あとは、東堂は早口で淡々と喋る人間なので、つねに集中力を高く持っておかないといけない役柄だなと感じていて。芳樹さんを近くで見て、そこがとても大変だと理解していたので、最初は躊躇していました。
でも、本作のプロデューサーのキタガワユウキさんや演出・脚本を務める鈴木茉美さんから、「凌平だったら東堂を任せられる」と言っていただけて。僕のことを信頼して任せてくれようとしているということに心が動かされて、やってみようと思いました。
――同じシリーズ作品の中で今回は主役を務めますが、ご自身の成長を感じたりはしましたか?
竹中:いや、そういうのは特にないですね。というのも、普段から役の大きさを意識していないんです。主役だろうと、そうじゃない役だろうと、あくまでもひとつの役として見ているので。
――とはいえ、今回は竹中さんが座長というポジションになるかと思います。心がけようと思っていることなどは?
竹中:そういうのも特にないんです。本当は何かしら持っておいた方がいいと思うんですけど(笑)。本作にはベテランの役者さんもいらっしゃるので、そういう方々の芝居への取り組み方を見ていたら、士気は自然と上がるんじゃないかなと。それに正直、座組を引っ張るほどの余裕がないというのもあります。
基本的に僕は自分のことで精一杯なんです。だから、誰か一人が引っ張るというよりかは、全員が個々で頑張る、そして同じ方向を向いていく。そういう座長の在り方が自分には合っているなと思います。
――大変な役柄であるというお話もありましたが、今回演じる東堂解をどのような人物だと捉えていますか?
竹中:哲学があって、善悪がはっきりしている人だなと感じています。たぶん、東堂という人間は、理解しようとしてもできないと思うので、台本に沿って演じていくうちに、だんだんと東堂が僕の中に染み込んでくるんじゃないかなと。
あと、役作りのひとつとして心がけていることは、僕は自分の中で気持ちのいい台詞の間があるんですけど、それよりも少し早いぐらいの間で台詞を言うようにしています。東堂は頭の回転も非常に早い人なので、そこに合わせていかないと、と思っていますね。
――東堂は理解するのが難しい役とのことですが、ご自身と近い役の方が演じやすい、演じづらいというものはあるのでしょうか?
竹中:最初は近い方が演じやすいのかなと思っていたんですけど、最近は近すぎると逆に演じづらいかもと思うようになりました。近い考え方を持った役だと、自分で理解できたか気になって、固定観念にハマってしまうように感じて。演出家さんに何か言われたときに、「でも僕だったらこうするな」と、余計な思考が出てきちゃうというか。そう考えると、ほどほどの距離感があった方が演じやすいのかもしれないですし、それこそ東堂は、そのほどよい距離がある役柄だなと感じています。
――竹中さんは映画鑑賞や読書が趣味とのことですが、今回東堂を演じるにあたり、何か参考にした作品があれば教えてください。
竹中:実は僕、本作のようなミステリー作品はあまり見ないんですよね。ジャンルでいうと、人間くさい群像劇が好きでして。ただ、『大正浪漫探偵譚』の過去作は観ました。あと、大正時代の時代背景も勉強しようと思い、YouTubeや小説でその時代の食生活などを調べたりしました。
あとは、茉美さんに「役作りとして何か観たほうがいい作品ってありますか?」と聞いたんです。シャーロック・ホームズ系の作品を言われるのかなと思ったら、まさかの『ファンタスティック・ビースト』という回答が返ってきて。今回は歌唱するキャストもいるので、ミュージカルというか壮大な雰囲気の演出にしようと思っているらしいんです。そこからのセレクトだと思うんですけど、僕は観たら絶対に役作りを間違えると思ったので観られていません(笑)。
――今回、竹中さんと同じシーンが多いのは南条司役の小坂涼太郎さん、北原進役の三浦海里さんとのことですが、お二人とはどのようなやりとりをされているのでしょう。
竹中:海里はすごく気を遣ってくれていて、「凌平くん、やりづらいところとかないですか?」って聞いてきてくれる、優しい子です。涼太郎はすごく面白くて、予想もしなかったところから発想が飛び出してくるという感じで。でも本人は大真面目でやっているので、そこが見ていてたまらないんですよね。僕は笑っちゃダメって言われると笑っちゃうタイプなので、今から本番が怖いなと思っています(笑)。
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