沢口愛華が、7月1日に都内で開催された主演映画「札束と温泉」公開記念舞台あいさつに登場。共演の小浜桃奈、糸瀬七葉、大熊杏優、佐藤京、星れいら、メガホンをとった川上亮監督と共に撮影エピソードなどを語った。
同作は、「人狼ゲーム」などのヒット作を発表してきた原作者の川上が長編映画2作目の監督と脚本を担当する、温泉宿を舞台にしたクライムコメディー。女子高校生たちが、高校の修学旅行で訪れた温泉宿でヤクザの愛人が持ち逃げした札束の詰まったバッグを発見する。カネを取り戻すために現れる殺し屋、別の生徒からねだられている担任教師など、複数の思惑が絡まり、混乱が混乱を呼ぶ物語だ。
これが映画初主演となる沢口は「ミスマガジン2018」グランプリで注目され、その後も数々の雑誌のグラビアで表紙を飾って「カバーガール大賞」10代部門2連覇するなど、“令和のグラビアクイーン”の異名を取る逸材。俳優としても連続ドラマ「彼女、お借りします」(2022年、ABCテレビほか)で存在感を示す演技を披露している
今作で主人公・高梨リサを演じた沢口は、出演が決まった時の心境を「私が主演なんだ!?と思いました。オーディション組ではなかったので直接お話を頂いた形なんですけど、何で私に主演をやらせたかったんだろうって(笑)」と、主演抜てきは意外だったそう。
続けて「やっぱり女優になりたいと思って上京して、初めてこういうふうに『やってください』とお願いされたのがすごくうれしくで、絶対成功させてやろう!と思いましたね。ロケ地が大分と聞いて『よっしゃとり天!』と思いました」と、率直な心境を語った。
今作は「疑似ワンカット」というワンカットで撮られている風の撮影手法を採用。普段あまりない撮り方ということで、撮影時に苦労したことを聞かれると、沢口は「やっぱりワンカットなので移動も全てつながってくるんです。(ロケ地の)山田別荘さんの廊下を歩くのが大変でした。ワンカットだからこそのカメラとの距離感。歴史のある建物なのでちょっと廊下が狭めで、2人で歩くとキツキツになってしまって…」と話すと、他のキャスト陣も同じ思いだったのかうなずく。
さらに、「歴史のある建物だからこそ床がちょっときしむんです。そのきしむ音と自分のセリフが重なっちゃうと撮り直しなので、最後までいい感じでいったぞ!と思ってもきしんだ音で『これもう1回撮るわ…』という感じで(笑)。みんな心を折られ、精神力を鍛えられながら廊下のシーンを撮った記憶があります」と振り返る。
それを受けて、関根ひかる役の小浜も「階段を降りてきて、そのまま倒れているリサを探すシーンがあったんです。その時も急にスピードをあげてぶつかっちゃったり、カメラマンさんも後ろ向きで撮っているから転んじゃったりして。役同士で気持ちを合わせるのももちろんだったんですけど、カメラさんや音声さんとも気持ちを合わせないといけなくて。自分の中ではいいと思っても、『音声さんの影が入っちゃいました』とかいろいろあったので、それはワンカットならではなのかなと。普段感じられない緊張感も楽しみながら撮影できました」と演技だけではなく、スタッフの呼吸や“映り込み”、動線などにも留意しながら撮影に臨んだという。
さらに、ロケ地は撮影場所というだけでなく宿泊地も兼ねていたそうで、沢口は「山田別荘さんに撮影もして寝泊まりもする形だったので、待機中は自分たちの部屋にいるんです。自分たちの部屋で騒いだらそれが音声に入っちゃうので、静かにしていないといけなくて、トイレに行くのも我慢した時期がありました」と、いろいろな面で苦労した撮影を思い返していた。
映画「札束と温泉」は、6月30日より東京・シネマート新宿ほかにて全国順次公開中。
◆取材・文・撮影=ブルータス・シーダ(STABLENT LLC)