大学進学のために家を出て行った晃。桂一も就職し、職場まで1時間半もかかるが晃がいつ帰ってきてもいいように実家から通っている。
2年半もその生活サイクルから抜け出せずにいた桂一だったが、母親が帰ってきたことでドミノの最初の牌が倒されたかのように変化が生まれた。
母親が帰ってきたことで自分のペースを乱された桂一は、しばらくの間、剛の家に居候させてもらうことに。しかし、仕事中にも何度もメールを送ってくる母親。そのメールの一つ「晃みたいにもう帰らないつもりなの?」に引っかかりを感じた桂一がその意味を問いただしたことで、2年半も晃が帰ってこなかった理由が明らかになった。
帰宅した桂一は、送ってきたメールの意味を問いただすと、母親は一人暮らしの条件として「今まで掛かった学費を全部返すように言った」と答えた。「そうすれば家を出るのをやめるんじゃないか」と。
しかし、母親は晃のことを心配して一人暮らしを止めようとしたわけではなく、家の中をキレイにしてくれて、桂一の世話もしてくれる”便利な存在”として止めたかっただけ。そんな条件を出しても家を出ていく気持ちが変わらない晃に「二度とこの家には帰ってくるな」と言ったことを知った桂一は「そんなこと言ったら、本当に帰ってこないかもしれないじゃん!」と声を荒げる。
もう一つ、桂一が変わるきっかけとなったのが親友・剛の言葉。
職場でも仕事ができないと怒られ、上司から「お前、ホント、空っぽだな」と言われ、「変わりたくても無理。いっそ死んだほうが」と剛に愚痴を聞いてもらっていたが、「バカなこと言ってんじゃねえよ! 何が昔からそうだよ。あの頃はもっとマシだっただろうが! 自分で考えて自分で決めろ!」と、桂一を思うからこそ強い言葉を投げ返した。
敦子と松本と一緒に飲んでいる時、松本から「うちの会社に来ない?」と誘われるが、「今の会社、そんな簡単に辞められない」と桂一は断った。店を出ると、その日、元気がなかった敦子が脚本コンクールにまた落ちたことが分かり、「見切りつけたほうがいいのかな」と珍しく弱音を。松本は「結婚でもしたらどうだ? 叶わない夢を追っかけて人生無駄にするよりマシだろ」と言って敦子を怒らせてしまう。
でもそれは敦子に奮起してもらいたくて敢えて言ったことだった。そのやりとりを見て、剛が自分に言った言葉の真意を理解した。そして、ずっと変わらなかった桂一が変わった。
退職届を出し、会社を辞め、母親をカフェに呼び出し、「もう家に帰らない」と宣言。「誰がここまで育ててきたと思ってるの?」という親が子に放つ常套句をぶつけられても、「俺のそばにいてくれたのは母さんんじゃない! ずっと俺を見ていてくれたのは…」と、おそらく生まれて初めて母親に反発。
2年半ぶりに晃に会おうと思って、アパートまで行ってみるが、呼び鈴を押す勇気はなく、そのまま帰ろうとした時、晃の高校の同級生だった柳沢が晃を尋ねてきたのを見て、静かに立ち去ろうとする桂一。
柳沢を出迎えた晃は、物陰にいる桂一に気付き、2年半ぶりに再会を果たした。晃が柳沢と付き合っていると思った桂一は「邪魔してごめん」と言って立ち去ろうとしたが、晃は「なんで? なんで?」と言って泣くばかり。「ケイちゃん」と繰り返し、それ以上言葉にならない晃を見て、桂一は一歩前に足を踏み出した。
ラストシーンのキスは、まさに桂一の一大決心を表していた...。止まっていた2人の物語がまた動き出す。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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