――ファイルーズさんの演じられるプライドについて。ご自身では、どういったところが魅力的なキャラクターだと思われますか?
もし私が、前世の記憶を持ったまま乙女ゲームの世界に転生したら、モテまくるために全員の好感度を上げるようなことしか言わないでしょうね(笑)。きっとそうやってチヤホヤされる生活を送ると思うんですけど、プライドは王女という立場を理解して、妹や家族、国民が幸せになる方法を模索し続けるところがすごいですね。悪役令嬢にならないように努力して、慈愛の心で人々のために行動する心の強さこそ、彼女の魅力だと思います。
――“最強外道ラスボス”の資質がありながら、そうならないように努める姿からは人間味が感じられますね。
そうですね。ちなみに、妹のティアラと初めて会うときに、心の中で「私、嫉妬してる」と呟くシーンがあるんですけど、このセリフからはプライドの“生身の人間”としての感情が感じられて、すごく印象に残っています。彼女は何でもできる最強キャラで、人心掌握術にも長けていて。さらに王女ならではのカリスマ性もあって、ものすごく魅力的に見えるんですけど、それだけだときっと共感はされにくいと思うんです。このひと言のように、ときどき漏れる心の声から、「どんなに強くて達観していても、プライドは年相応の女の子なんだ」ということが感じ取れるので、ご覧いただく際は、そういった何気ないひと言にも意識を向けてもらえるとうれしいです。
――プライドの魅力を引き出すために、演じるうえで意識されたことはありますか?
“最強外道ラスボスのプライド”と“前世の記憶を持ったプライド”のお芝居に高低差があるほど、面白いキャラクターになるので、そこは意識して演じ分けました。とはいえ、あまりにお芝居がかけ離れてしまうと違和感が生じてしまうと思ったので、あくまでもプライドというキャラクターが発するであろう“声の幅”のなかで変化をつける…という点に気をつけました。
――それぞれの側面を演じるうえでの、お芝居の特徴を教えてください。
前世の記憶があるプライドは、明るくやさしい性格で、思いやりのある素敵な女性ですが、言うべきときにはハッキリとものを言う強さも併せ持っているので、王女としての資質もきちんと表現することを意識しました。王族の一員なので、生まれつき“声の圧”は備わっていると思っていて。なので、王女として話すときは圧を感じさせながらも、きつく聞こえないようにするという、バランスの調整が難しかったです。
逆に、最強外道のプライドは演じやすかったですね。というのも、もともと私自身がアニメやゲームで好きになるのは、性格の悪いキャラクターが多くて。声優になると決めたときから、そういった悪役を演じたいとずっと思っていたんです。今回、この役をいただいて、ひとりのキャラクターでありながら正反対の演技が求められる…ということで、本当にいい勉強になりました。お芝居の引き出しも増えて、私自身も成長できた気がします。
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