——インタビューの裏話などあれば教えてください。
稲葉さんは、ユーモアと茶目っ気を忘れない方ですよね。最後の取材の際に、「10万字のインタビュー原稿をまとめていたら、正月(休み)がなくなりました」と言ったら大ウケされていました(笑)。あとは取材の時期に稲葉さんの作品を聴きすぎていたので、取材の小休憩中、稲葉さんの目の前で「LADY NAVIGATION」をつい鼻歌で歌ってしまってその時は焦りました(笑)。
——(笑)。完成した「-シアン[特装版]」を手にしていかがでしたか?
2023年に、こういう印刷物が出版されること自体が大きな意味を持っていますよね。これが実現したのは、まさに35年にわたる稲葉さんの創作活動があってこそですし、特装版の重さにそれを実感しました。
——「-シアン[特装版]」は、どんな内容に仕上がったと思いますか?
「-シアン[特装版]」は、稲葉さんが「ある意味、これは危険な本ですよ」と語っていたように、歌詞の謎解きの一面もある書籍ですし、同時に日本のポピュラー音楽のシーンで稲葉さんがなぜこれほどまでに支持を得られてきたかを紐解く書籍だとも思います。稲葉さんのファンの方はもちろん、作詞に興味がある人にもぜひ手に取ってほしいですね。
今回、稲葉さんに多くの時間を割いていただいて、毎週1回、2〜3時間のインタビューを合計6回したんです。インタビュー前にところざわサクラタウンと横須賀での撮影があり、インタビュー後には私がプロデューサーを務めているYahoo! JAPANの「RED Chair」にもご出演いただきました。稲葉さんに会う機会が多い濃密な時間を過ごさせていただきましたし、私にとって大きな財産になる経験をさせていただいて感謝しています。稲葉さんと接していると、どんなときも慢心してはいけないなと思うんですよ。あの稲葉さんが謙虚なんですから。「-シアン[特装版]」を手にして、改めて気を引き締めましたね。
宗像明将(むねかた・あきまさ)
1972年生まれ、神奈川県出身。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、日本のロックやポップス、世界のワールドミュージックなど、ポピュラー音楽全般について執筆する音楽評論家/編集者。著書に『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』(2016年)。2022年以降では、桜井和寿(Mr.Children)、EXILE ATSUSHI、広末涼子、BiSH、あの、劇団ひとりなどのインタビューを担当している
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