衣装制作やメークの練習はもちろん、徹底して体づくりにも励み、全身で好きなキャラクターになりきろうとするコスプレイヤーたち。その中には美意識の向上に伴い、「もはや別人では?」と疑ってしまうほど、劇的な変化を遂げた人々もいる。本稿では「#同一人物とは思えない画像を貼れ」のタグ付きで、18歳当時と現在(24歳)の写真の比較ツイートをアップしているコスプレイヤー・茶柱マキナさんに注目。女装コスプレに取り組むようになったきっかけや、容姿に対する周囲の反応についてインタビューした。
――素朴な学生時代の写真と、露出度の高い女装コスプレの写真の比較ツイートがバズっていますが、こちらに対して周囲からはどのような反応がありましたか?
「きれいですね!」とか「性別を超えてる!」というお褒めのコメントをたくさん頂きました。その他にも「本当に男性ですか?」や「どうやって体を作っているの?」といった質問もたくさん届いていて。大勢の方に反応していただいてうれしい限りです。
――そんな茶柱さんがコスプレをしようと思われたきっかけを教えてください。
14歳の時に学校の文化祭で、先輩たちが初音ミクのコスプレをしているのを見かけたことがきっかけです。面白そうだなと思って、見よう見まねで始めてみました。
――コスプレ趣味は最初からオープンにしていたのですか?
普通にコスプレをするだけでも偏見の目で見られる時代・環境だったのに、私が挑戦したのは女装なので、絶対に引かれると思い、ひたすら隠してバレないようにしていました。でも、活動を始めてから1年くらいで、結局周りの人たちに知られてしまって…。多くの友達が離れていきました。かなり衝撃的なあだ名をつけられて、いじられるようになったのもその頃からです。
――そのような環境でもコスプレ活動を続けられて、しかもここまで劇的に容姿が変わられたことには、何か理由があるのでしょうか?
二つありまして、まず一つは母がコスプレ活動を応援してくれたことです。女装がバレたとき、絶対に反対されると思ったんですけど、「やるんだったらとことんまできれいになりなさい!」と言って、メーク道具一式をプレゼントしてくれたんです。
そして、もう一つが初めてコミックマーケットに遊びに行ったときのことなんですけど、ノーメークで全然コスプレもしていなかったのに、そこで出会ったとあるレイヤーさんから「あなたには才能がある」と言ってもらえたことです。この言葉のおかげで「美しさを追求したい!」という気持ちが芽生え、本格的にクオリティーアップを目指すようになりました。
――いまや女性と見紛うほど美麗な容姿を手に入れられた茶柱さんですが、ここまで劇的な変化を遂げたことで「良かった」と思われる経験や、具体的なエピソードがありましたら教えてください。
最近あった出来事なんですけど、あるフォロワーさんから「ずっと活動を見てきました、あなたのようになりたいです」と言っていただけたことですね。これまでの積み重ねで自分自身が変わっただけでなく、活動を見てくれていた人の心にも何らかの影響を与えることができた…というのがうれしくて。コスプレ活動を続けてきて良かったと思えた瞬間でした。
――茶柱さんのようにきれいになりたいという方たちに向けて、実際に取り組まれている美容やダイエットの方法、メークの練習方法などを教えていただけますか?
それが、改めて紹介するほどのことは特にしていなくて…。まずは、メークの基礎知識を身につけるために美容関係の本を大量に買って。それを読みながら練習して、メークが終わったら写真を撮ってチェック。苦手な部分やうまくできたところをピックアップしつつ、それらを改善しながら次のステップに進む…ということをくり返していたら、いつの間にかこんな感じになっていました。
体作りに関しては、週3ペースでジムに通ってトレーニングをしています。家でもフィットネスができるゲームをプレイしたりして、元気があるときはとにかく体を動かすようにしています。常日頃から食事のバランスにも気を付けているので、いつ撮影の予定が入ってもベストなコンディションで対応できる…という点も、自分の強みだと思っています。
――これまで挑戦してきたコスプレの中で、一番のお気に入りは何ですか?
SNSに写真をアップした中で特に評判が良かったのは、「Fate/Grand Order」に登場するコヤンスカヤのコスプレですね。私自身も好きなキャラクターなので、いろんなバージョンの衣装を用意して。撮影時は、しぐさや表情にもこだわっています。
――最後に、今後挑戦してみたいコスプレやコスプレ活動について教えてください。
「ワンパンマン」に登場する怪人姫弩Sというキャラクターですね。露出度の高い、かなりセクシーなキャラなんですけど、女装レイヤーとして限界点にチャレンジしてみたいです。それと、実はまだ形になるモノを制作したことがないので、レイヤー友達やカメラマンさんと相談しながら、写真集なども作ってみたいですね。
◆取材・文=ソムタム田井