【漫画】急死した愛猫へ最後に伝えたかった言葉とは…愛に溢れた不思議な追悼漫画に「涙なしには読めない」の声

2023/07/21 18:30 配信

芸能一般 インタビュー

愛猫の突然の死…自責の念にかられた作者が伝えたかった言葉とは画像提供:弓家キョウコさん

コミックの映像化やドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、弓家キョウコさんの創作漫画「先日1歳と9ヶ月で急死した、飼い猫の雨への追悼漫画です。」。

作者である弓家キョウコさんがTwitterに本作を投稿したところ、2.8万件を超える「いいね」が寄せられた。本記事では弓家キョウコさんに、作品のこだわりなどについてインタビューをおこなった。

急死した飼い猫・雨に作者・弓家キョウコさんが言いたかったこと

先日1歳と9ヶ月で急死した、飼い猫の雨への追悼漫画です。①画像提供:弓家キョウコさん

本作は作者・弓家キョウコさんと急死した愛猫・雨が川沿いでお花見をしているシーンから始まる。用意された食事を笑顔で頬張る雨は、ゆったりとした時間を過ごしながらも飼い主である弓家キョウコさんの身体を気遣うことばを投げかける。しばらくすると、雨をお迎えに来た船が到着してしまった。しんみりとするも笑顔の2人は、また会うことを約束する。そして別れ際、弓家キョウコさんは愛猫・雨に心から伝えたかった言葉を告げたのだった。

作者・弓家キョウコさんは愛猫の死後、実際にみた夢をもとに本作を描いたのだという。Twitterでは「涙無しには読めませんでした」「ダメだ泣いちゃう」「素敵な投稿」などのコメントが寄せられている。

「今ここにいる自分や時間は当たり前のものではない」 作者・弓家キョウコさんの作品への思い

作者・弓家キョウコさんが漫画に込めた思いが温かい画像提供:弓家キョウコさん

――「先日1歳と9ヶ月で急死した、飼い猫の雨への追悼漫画です。」を創作したきっかけや理由があればお教えください。

自分の中で溢れる喪失感と、心残りを鎮めるため・追悼するために描きました。彼を失った後、しばらくは彼を看取ることができなかった、病院で一人で死なせてしまった自責の念に苛まれ、彼を思い浮かべたときにありがとうと感謝したいのにできず、眠りの浅い日を過ごしていました。その時にたまたま夢をみて、その夢に出てきた映像がこの漫画の最後のシーン(雨が小舟に揺られて手を振り、行先に鳥居と大木があるシーン)で、そこから逆算する形で描こう、と思い描きました。

――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。

無意識にやっていましたが、今見返すとこだわっていたところは「時間の流れ」を桜の花びらで表していたところです。最初のシーンで雨と河原でご飯を食べている時〜小舟がつくまでは桜は吹雪いていません。この時間がいつまでも続いてほしい、時が止まってほしいと祈る瞬間は人生に何度かあると思いますが、作中の私もそうであったみたいで、背景は凪いでいます。小舟がついた時、止まって欲しかった時間が動き出して、桜が吹雪いています。

どうしたっていつかは別れがきて、時間は止められないから、指切りをした後指を離す瞬間に指にかかる重力だったり、数秒しか許されていない残りの時間に「ありがとう」といったり、人生の中でこぼれるくらいの刹那の時間の愛しさを描きたかったし、感じてもらえたらと思っています。

当時、雨だけではなく身内の大切な方を亡くしているので、私なりに死生観と向き合った時期でした。そういったものがこういった描写に少し現れているのかなと思います。今ここにいる自分や時間は当たり前のものではないと言うことを感じて、愛しく思っていただければ。

――作品の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

指切りをした時の「雨が降ればまたあえます」というところでしょうか…雨が地上に降って地面を通って海に流れてまた空に登って雨となって降る循環に、輪廻の願いを込めました。スピリチュアル的なことは強く信じているわけではないけれど、きっとまたあえるね、と言う願いを込めたくなってしまって、一瞬恥ずかしいか…?と躊躇しましたが、結局そのまま描きました。私がこのシーンで描いたことは見方によってはある種の愚かなことと言えるのかもしれないのですが、人は愚かさと愛を切り離しては生きていけない気がしているので…

――本作や書籍「主夫をお願いしたらダメですか?」など、日常や家族をテーマにした作品を多く描いていらっしゃいますが、理由があればお教えください。

生きるのがうまくはない自分のための楽しいこと探しでしょうか…日常の中にある悲しみや絶望は大小違えど周りやSNSを見ている限りやっぱり確かにあって、それに声を上げたりあげなかったり、声を上げてもスルーされたり、寂しい人は自分を含めていっぱいいる気がします。それが積もり積もっていって埋もれてしまいそうで、そんな日々がこの先どのくらい続くのかっていうことをぼんやりと考えて鬱屈して、考えないように忙しくしてみたりしている人がちょっと通勤時間や通学時間、なんとなく何もしてない時間の間なんかに手を止めてクスッと笑ってもらえたり、共感したりしてもらえたら嬉しいなぁと思います。

――今後の展望や目標をお教えください。

今後、創作漫画の連載がスタートします。時期はまだ詳しくお伝えできないんですが、楽しみにしていただけたら嬉しいです。こちらは日常を描いている気持ちとはまた違う気持ちで描いていて、恋愛ものでもファンタジーでも、誰かをちょっとの間だけ夢中にさせることができたら本当に嬉しいなぁという気持ちで描いています。創作もエッセイも描ける作家になることが目標です。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。

いつも見て下さってありがとうございます。以前から応援してくださる方も、最近見始めたよーという方も、本当に本当にありがとうございます。漫画はどこでだって描けるけれど、私を私にして下さってるのは紛れもなく読者の方々ですので、感謝の気持ちが大きすぎてなかなか言葉にならないので、完璧なものでないにしてもまた描くんだと思います。近々初の対面イベントを企画しています。詳細は決定次第私のSNSにてアップしますので、もしよかったら会いにきてください。