稲葉浩志初の作品集「シアン」のコンセプトは茶室?アートディレクター&編集長が明かす制作裏話

2023/07/13 12:00 配信

音楽

稲葉浩志初の作品集「シアン[特装版]」の制作秘話をアートディレクター&編集長が明かす(C)平野タカシ/KADOKAWA

稲葉浩志初の著書にして初の作品集となる「稲葉浩志作品集 シアン」。先行して発売された「-SINGLE & SOLO SELECTION」に続き、その完全版となる完全受注生産「-シアン[特装版]」が10日、ついにリリースされた。稲葉浩志の作詞家としての側面にフォーカスした同作では、稲葉自身がこれまで紡いできた400曲以上の歌詞が掲載されるほか、35年にわたる作詞家としての活動を総括している。そんな稲葉の35年の歴史をたどった同作は作品集2冊、フォトブック1冊、それらを収納するSPBOX付きという特別仕様。こだわり抜かれた「シアン[特装版]」は果たしてどのようにして誕生したのか。作品作りのキーマンであるアートディレクター・志村正人氏(REVEL46)と、編集長・江村真一郎氏(KADOKAWA)に作品誕生までの経緯や制作の裏側を聞いた。

稲葉浩志初の作品集を作るため有志の編集部を立ち上げ

――まずは企画がスタートした時の話から聞かせてください。

江村真一郎(以下江村):企画がスタートしたのは2022年2月頃でした。「別冊カドカワ」でB’zの総力特集号を2003年に刊行したこともあり、事務所のバーミリオンさんからお声がけいただきました。その後、稲葉さんご本人とスタッフさんによって提案を吟味していただき、縁あってご一緒させていただけることになったのが2022年の4月頭でした。

――稲葉さんはこれまで作品集はもとより、ソロでの書籍自体が初めてですよね。

江村:はい。以前、松本さんはソロの書籍を出されていますが、稲葉さん単独の書籍は今回が初めてです。初めての著書、さらにデビュー35周年というアニバーサリータイミングでもありましたし、その歴史に見合う作品を作りたいと僕らも気合が入りました。

――元々B’zとの音楽的な接点や思い入れなどはありましたか?

江村:個人的な話で恐縮ですが、中学時代にエレキギターを始めたきっかけがB'zで。

志村正人(以下志村):えぇ!そうだったんですか?

江村:そうなんです(笑)。初めて買ったエレキギターがYAMAHAのMG-MⅡGという松本さんのシグネチャーモデル。中学の同級生とバンドを組んで、文化祭で「HOT FASHION」を下手くそなりに一生懸命演奏しました。元々、自分にとって思い入れのあるアーティストさんなのですが、今回は社内でB’zが好きな女性編集者にも声をかけて、男性目線、女性目線、両方から納得いくものをつくりたいと有志の編集部を立ち上げました。

――この規模感の作品ですと、編集部以外にもスタッフの力が必要ですよね。

江村:そうですね。アートディレクターやデザイナー、ライター、カメラマンを誰にするか。印刷はどこにお願いするか。編集部側の意向と稲葉さん、そして事務所さん側の意向をすり合わせながらスタッフィングを進めました。

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