――その中でアートディレクターは志村さんが選ばれたと。
江村:前述の女性編集者が以前仕事をさせていただいた志村さんがアートディレクターの候補に挙がって。今回のプロジェクトは“単純に本を作るだけでは終わらないかもしれない”という可能性が当初からあったので、雑誌「Pen」でイベントを含めたトータルデザインをされていた志村さんが良いのではと。実際に過去のデザインなどを拝見させてもらい、今回の企画に合っていると感じたんです。
志村:これまでお仕事をしたことはあったんですけど、すごく前のことなので連絡をいただいた時はビックリしました。最初、電話に出られなくて、“間違えてかけたのかな?”って(笑)。それで電話で話してみたら、B’zの稲葉さんの書籍を作ると。僕は正直、B’zの楽曲をこれまで聴き込んではいませんでした。もちろん有名な曲が多いので知ってはいますが、“僕でいいのかな?”って。でも声を掛けてくれたのは何か理由があるんだろうと思ったので「やります」と。でも2022年はサッカーW杯があったので、「W杯を観に行くので、その期間はできませんよ」ということは伝えました(笑)。
――刊行するタイミングによっては、その時期とかぶってしまう可能性がありますからね。
志村:そうなんですよ。
江村:具体的な発売日が最初から決まってたわけではないんですが、目安として考えていたのが2023年の6月頃までに出したいということ。2023年7月からはB’zのツアーが始まるので、その前に刊行できればという思惑がありました。2022年の4月から6月にかけてどんなコンセプト、内容にするのかを事務所さんやスタッフと何度も打ち合わせをしながら詰めて、夏に入った頃から実作業を始めましたね。特装版の発売日は2023年7月なので結果、約1年半作品作りに携わった形になります。
――江村さんは、実際に志村さんと会って話をしてどういう印象を受けましたか?
江村:とても柔軟な考えを持ってる方だなと思いました。こちらの構想にも対応していただけそうだなって。
――テーマ/コンセプトは最初から決まっていたのでしょうか?
江村:今回は“ボーカリスト稲葉浩志”ではなく、“作詞家稲葉浩志”をフォーカスするものにしてほしいということだったので、そこに特化した感じですね。編集スタッフで内容を詰めて、事務所さん側に提案をして、「これだとちょっとソロではなく、B’zっぽい感じになってしまいますね」とか、細かな部分まで調整しながら進めていきました。「178問178答」のようなライトな企画も当初は考えていたのですが、最終的には歌詞に関するロングインタビューを軸に、デビューからの35年の活動をしっかりと振り返る内容に着地しました。
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