――フォトブックも今回撮り下ろした写真で貴重な内容ですね。
江村:以前「別冊カドカワ」でB’z特集号を制作した際は撮り下ろしがなかったと聞いていたので、今回ロケ撮影にご協力いただけるとなり嬉しかったですね。ロケ撮影は2つのテーマで撮り下ろしました。まずは“word”をテーマに、ところざわサクラタウンの角川武蔵野ミュージアムを中心に行いました。本棚劇場という本がたくさん並べられている場所で、そこに稲葉さんが寝転がることで“言葉に埋もれる”というイメージを表現しています。今後、本棚劇場で寝転んでいる方がいらっしゃったらきっとシアンを買われた方かもしれません(笑)。
――ロケ地巡礼ですね(笑)。
江村:(笑)。もう1日は“think”をテーマに。歌詞を作る時に稲葉さんが物思いに耽っているような、オフに近い稲葉さんを撮りたいと思い、横須賀市全面協力の下、猿島、どぶ板通り、三笠公園などで撮影を行いました。猿島に行くには定期船に乗る必要があるのですが、強風だと運航中止になってしまうんです。実は、ロケハン、撮影予定日ともに運航中止になってしまって。当日の朝にならないと運航の判断が出ないので、ロケの予備日も朝からソワソワしていましたね。稲葉さんをソロでここまで撮り下ろした作品は非常に貴重だと思います。
志村:写真がすごくカッコいいので、稲葉さんの魅力をたっぷりと感じてもらえると思います。
江村:カメラマンは、所沢の撮影が平野タカシさんで横須賀の撮影を中野敬之さんにお願いしました。平野さんにはコンセプチュアルに稲葉さんのカッコよさをメインで撮ってもらい、一方、中野さんには普段の稲葉さんの雰囲気に近いラフなイメージで撮っていただきました。
――特装版に先駆けて発売された「SINGLE & SOLO SELECTION」とは掲載されている写真が全く違いますね。
江村:最初は特装版だけ作る予定でしたが、稲葉さんに今回の作品集を広く一般の方にも届けたいという思いがあることを知り、急きょ「SINGLE & SOLO SELECTION」を発売した流れになります。おかげさまで「SINGLE & SOLO SELECTION」も発売4日で重版が決まりました。特装版からセレクションした書籍という位置付けですが、それぞれ別の撮り下ろしカットを掲載して、どちらも楽しめるようにしています。
志村:両方買われたという方も多いんじゃないですかね。特装版は保存用にして、毎日読みたい人はセレクション版を読むとかもいいかもしれません。
江村:特装版は資材調達や制作工程の都合上、2月末で予約を締め切らせていただいたんですが、その後もたくさんお問い合わせをいただきました。特装版は残念ながらこれから購入することはできないのですが、「SINGLE & SOLO SELECTION」は特装版のエッセンスを凝縮していますので、ぜひそちらを書店で手に取ってシアンの世界をのぞいてもらえたらと思います。
◆取材・文=田中隆信
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